■妊婦の奥さんとロングドライブできる快適性
トランスミッションは、アイシンと共同開発された6速AMTを搭載。当時トレンドだったツインクラッチではなくシングルクラッチを選択した理由は、「ギアが噛みあう感覚にこだわりたかった(棚橋)」だった。
確かにDレンジではツインクラッチのようなシームレスなシフトではないものの、シングルクラッチの特性を理解してアクセル操作を行なえば想像している以上にスムーズに走行できた。
車体はCFRP(場所によってプリプレグ/RTM/SMCと工法を使い分ける*)×アルミのハイブリッド、サスペンションはフロント:ダブルウィッシュボーン、リア:マルチリンク式(KYB製別タンク式ショックアブソーバー)、ステア系はコラム式EPS、タイヤはポテンザS001(フロント:265/35ZR20、リア:305/30ZR20)、ホイールはBBS製鍛造アルミなど、ほぼ専用アイテムで構成されている。
フットワークは軽めながらも正確無比のステアリング、強靭ながらもカーボンモノコック特有の減衰特性を備えたしなやかなボディ、硬めですが軽やかに路面を捉えるサスペンションと、前後のアプローチアングルと最低地上高さえ注意すれば、想像以上に開放感のある視界性能も相まって、スーパースポーツながら気負いなく走らせる事も可能だ。
成瀬氏は当時「LFAは妊婦の奥さんを横に乗せて、大阪から東京までノンストップで走っても大丈夫な快適性と気持ち良さを備えた」と語っていたが、その言葉に納得。
*プリプレグ:樹脂をあらかじめ予備含侵した炭素繊維シート
*RTM:Resin Transfer Molding
*SMC:Sheet molding compound
■LFA2が登場間近か?
ブレーキはブレンボと共同開発されたCCM(カーボンセラミックマテリアル)ブレーキディスクとアルミ製キャリパーの組み合わせです。「“巌”のように安心して踏めるブレーキ(棚橋)」で、超高速域からの制動やニュルブルクリンクを安定してラップできる性能、絶大な信頼を感じるタッチやフィーリングはもちろん、常用域でも普通に使えるフレキシブルさも備えていた。
ちなみに豊田氏はLFAについてこのように語っている。「LFA以前はトヨタにはスープラ(A80)を超えるクルマがありませんでしたが、LFAでやっと超えることができました。唯一悔いがあるとすれば、限定500台“しか”売ることができなかった事ですね」。
この時、豊田氏はスポーツカーを景気や情勢の変化に左右されることなく継続させる事の難しさを理解。その教訓を活かした結果が、スバルと共同開発された86(GR86)、そしてBMWと共同開発されたGRスープラである。
2021年12月、トヨタが日本で開催した「BEVに関する説明会」でお披露目した数多くのモデルの中の1台である「レクサス・エレクトリファイドスポーツ」が、LFAの後継モデルではないかと噂されており、巷では「LFA2」と呼ばれている。
さらにに2022年の東京オートサロンではこのモデルのレースバージョンと言ってもいい「GR GT3コンセプト」がお披露目されている。
2024年、このモデルと思われるテスト車両が国内外のサーキットでスクープされているようだが、LFA開発で培った「秘伝のタレ」が活かされているのは間違いないだろう。
【画像ギャラリー】当時の写真をたんまり! 胸アツなLFAのお姿はここから!(32枚)画像ギャラリー
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