新型グランエースはアルファードを超えたか? 日本最高級ミニバン堂々誕生!!

8人乗り4列目シート仕様でも快適に移動できる?

 「G」は、2人掛けの4列で乗車定員は8名。2列目は「プレミアム」と同じエグゼクティブパワーシートだが、3列目はリラックスキャプテンシートだ。

 この3列目は、ヴォクシー系3姉妹車の2列目をベースにしたから、オットマンは装着されない。2列目に比べて豪華さは見劣りするが、シートサイズは充分にあり、着座位置も適度で快適だ。

 4列目は、座面を持ち上げて前方にスライドさせる方式になる。アルファードの3列目に装着される左右跳ね上げ式に比べると、畳んだ時の荷室奥行は広げにくいが、座り心地は良い。

グランエース「G」の2~4列目シート。1列増えたぶんだけ、やはりシートピッチは狭め。最後列の4列目はベンチシートながら2人掛け

 ちなみにアルファード左右跳ね上げ式は、小さく畳める半面、柔軟性が乏しく座り心地も悪い。床と座面の間隔も足りず、座面の角度は水平に近いから、足を前方へ投げ出す姿勢を強いられる。

 これに比べるとグランエース「G」の4列目は、着座位置が適度で座面の前側も少し持ち上げたから着座姿勢も良い。柔軟性を含めて相応に快適だ。

 4列のシートを備えた「G」も、車内の広さは3列の「プレミアム」と同じだから、1人当たりの足元空間は狭い。身長170cmの大人が多人数乗車した場合、プレミアムの膝先には握りコブシ5つ分の余裕があるのに、「G」では1つ分になる。

 床と座面の間隔が充分にあって着座姿勢も良く、前側のシートの下に足が収まって意外に窮屈ではないが、乗車時には各シートの間隔を正確に調節せねばならない。

 また、8人で乗ると、乗降性は普通のミニバン以上に悪い。「G」ではフル乗車時に事故が生じた時のことを考えると、リアゲートを内側から開ける工夫も必要だろう。

肝の乗り心地はハイエースベースとは思えない快適さ

シャシー、足回りをきっちり作り込んだだけあって、乗り心地も良好。開発関係者は「ベンツVクラスにも負けない」と胸を張る

 エンジンは、直列4気筒2.8Lクリーンディーゼルターボで、1500回転以下でもターボ車にありがちな駆動力の低下が少ない。

 3900回転付近まで滑らかに吹き上がり、車両重量が2700kgを超えるボディでもパワー不足を感じにくい。ノイズや振動も抑えられ、特に「プレミアム」は合わせガラスも装着されて一層静かだ。

 注目は乗り心地で、商用車がベースとは思えないほど快適だ。ボディやステアリングの支持剛性は商用車も含めて高められ、グランエースはリアサスペンションの形状変更と併せて取り付け剛性も向上させた。足まわりから床面に伝わる振動も小さい。

 商用車仕様では車両総重量が3800kgに達する場合もあるから、ボディ剛性も高く、グランエースの車両重量も2700kgを超えた。それだけに乗り心地に重厚感があり、快適性を高めた。

 ボディが重い割に、減速した時の前輪側の沈み込みや後輪側の浮き上がりも小さい。

 今後改善したいのは、50km/h以下で感じたタイヤの硬さだ。乗り心地は総じて快適だが、低速域で路上のデコボコを伝えやすい。グランエースのタイヤサイズは、最小回転半径を5.6mに抑える目的もあり17インチの235/60R17だ。

 指定空気圧はボディが重いこともあって前輪が300kPa、後輪は350kPaに達する。この振動を抑えれば、ミニバンのセンチュリーと呼べるクルマになる。

グランエースはアルファードを越える高級ミニバンか

2020年1月に中国で価格が発表されたレクサス LM。アルファードのレクサス版で約2345万円(日本円換算)。こちらも最高級ミニバンのひとつだ

 主力となる「プレミアム」の特徴は、6名全員が快適に移動できることだ。アルファード/ヴェルファイアは、車内が広くミニバンでは多人数乗車が快適とされるが、先に述べた通り3列目は座り心地が悪く、足を前側へ投げ出す姿勢になる。

 快適な2列目に比べると、3列目は折り畳んで荷室として使う機能を優先させた。つまり、5名以上で快適に移動するには、2台のクルマが必要になる。

 この室内の作りは、中国で売られるアルヴェルをベースにしたレクサス LMも基本的に同じだ。LMには3列目をはずして2列目をさらに豪華に仕上げた2列シートの4人乗りも用意され、3列目の座り心地には重点を置いていない。

 その点でグランエースなら、6名全員が快適に移動できる。3列目の快適性も2列目と同等だから、4名にVIPの待遇を与えられる。これなら2台に分乗する必要はなく、1台で済むから合理的だ。

 特に長距離を多人数で頻繁に移動する用途にはピッタリだろう。例えば東京と名古屋を6名で往復する場合、新幹線の普通・指定席は合計約14万円を要する。

 グランエースなら高速道路の通行料金が約1万5000円(ETC利用)、軽油価格はWLTCモード燃費で計算して800kmを走ると約1万円だ。合計2万5000円で往復できる。

 このような計算が成り立つのは、今のところ日本車ではグランエースのみだ。

 荷物を積むためではなく、多人数で快適に乗車するためにミニバンが欲しいユーザーにとって、ボディは相当大柄になるものの、グランエース「プレミアム」は魅力的なクルマになるだろう。

 逆に4名で乗車して荷物を積む用途には、従来のミニバンの方が使いやすく選択肢も豊富だ。

◆トヨタ グランエース/価格表
・プレミアム:650万円
・G:620万円

【画像ギャラリー】威風堂々!! 新型グランエースの豪華6人乗り&8人乗りをチェック!!

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