パジェロ 三菱“最強”RV 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

■ハイパワーによるゆとりが求められる

 3.5L、V6エンジンはDOHC、4ヴァルブ、アウトプットは最高出力230ps、最大トルク33.0kgmとこの種のエンジンとしては極めて高い性能なのだ。

メタルトップZRの0〜400m加速テストでは、ホイールスピンをしながらの豪快な加速で、スタッフを驚かせた。またロングのスーパーエクシードはまさに高級車の乗り心地で、当時の谷田部の最高速テストでも、170km/hに迫った
メタルトップZRの0〜400m加速テストでは、ホイールスピンをしながらの豪快な加速で、スタッフを驚かせた。またロングのスーパーエクシードはまさに高級車の乗り心地で、当時の谷田部の最高速テストでも、170km/hに迫った

 ロングの場合、自重2.1トンもあるが、楽々と加速させる。このエンジンは低速トルクもあって4ATとのマッチングがよく、悠々とした走りを見せる。

 トップのギア比は高く、100km/hのランニングも3000rpmに達せず、燃費の向上と静粛性の両方を期待できる。3.5L、V6  24ヴァルブエンジンの採用はこのあたりにあるようで、ハイパワー化によるゆとりは、あらゆるクルマに要求されることだ。

(上)エンジンは6G74と呼ばれるV6DOHC24バルブエンジンで、当時のクロカンに搭載される最強エンジン。後にGDI化され245psに、MIVEC化され280psになる(下)国産のクロカンモデルに初採用だったエアバッグが新鮮。ショートのメタルトップZRはセミバケットシートを採用した
(上)エンジンは6G74と呼ばれるV6DOHC24バルブエンジンで、当時のクロカンに搭載される最強エンジン。後にGDI化され245psに、MIVEC化され280psになる。(下)国産のクロカンモデルに初採用だったエアバッグが新鮮。ショートのメタルトップZRはセミバケットシートを採用した

 4WDはNVH(編集部註:騒音や振動のこと)が辛い。これはひとつのネックであるが、パジェロの3.5Lモデルは高級乗用車に要求される要素もけっこう満足させている。

 もともと4WDは重いから乗り心地は案外いいのだが、パジェロのそれは、ちょっとやり過ぎかな、と思えるくらい柔らかく、フワッフワッと走っていく。

 もちろんロールは少なくないが、このサスペンションの柔らかさはそのロケーションさえしっかりとれば、走破性も高めることができる。重く太いタイヤ、まるで戦車のようなものが、ソフトライディングを実現するので驚いてしまう。

 ただ、この230馬力の4WDは確かに楽ちんだが、そこだけを追いかけると危険性も感じてしまう。前述のように4WDは重い。

 ハンドリングにしてもブレーキにしても難しいことが多くなる。この種のクルマに200km/hのスピードを与えることが、そんなに重要なことか? と疑問になってくる。むしろ、そこまでの速さよりもどれだけゆとりを持って荷物が積めるかを重視したい。

 今後パジェロの3.5Lをはじめ、ファストツアラーと呼ばれる4WDに求めるものがあるとすれば、スピードが高まったぶんの“安全”だ。アクティブ、パッシブ、両方での安全性をより高いレベルに引き上げてもらいたい。

徳さんはレンジローバーを愛したほか、パジェロなど本格4WDへの造詣も深かった
徳さんはレンジローバーを愛したほか、パジェロなど本格4WDへの造詣も深かった

◎パジェロメタルトップZR主要諸元

  • 全長:4030mm
  • 全幅:1785mm
  • 全高:1885mm
  • ホイールベース:2420mm
  • エンジン:V6DOHC
  • 排気量:3496cc
  • 最高出力:230ps/5500rpm
  • 最大トルク:33.0kgm/3000rpm
  • トランスミッション:4AT
  • 10・15モード燃費:6.8km/L
  • 車重:1890kg
  • 当時の価格:313万9000円
  • 登場年:1993年
  • 0~400m:17.19秒
  • 60~100km/hの中間加速:6.36秒
  • ※テスト車=メタルトップZR(4AT)
  • 最高速:169.85km/h
  • ※テスト車=ロング・スーパーエクシードZ(4AT)

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