ポルシェが2022年11月にワールドプレミアした911のオフロードモデル、ダカール。車名の「ダカール」には1984年のパリ・ダカールラリーでポルシェが果たした初の総合優勝への敬意が込められているが、その試乗インプレッションを木村好宏氏のレポートでお届けしよう。
文/木村好宏、写真/ポルシェ
■953で1984年のパリ・ダカを制したポルシェ
1964年に登場したポルシェ911が現在まで生きながらえている理由のひとつに基本デザインを保ちながら誕生以来、たゆまぬ技術的アップデートを行ってきた点が挙げられる。すなわち「最新のポルシェ911は最良のポルシェ」と言われる所以である。
例えば、現在ではスポーツカーどころかほとんどの乗用車にも採用されている4WD化に際してもすでに今から42年前となる1981年にコンセプトモデルを発表し、さらに1984年にはパリ・ダカールラリー参加に専用開発された953を開発、みごとに総合優勝を果たしている。
さらに、ポルシェの巧みなビジネスはこうした伝統とハイテク、そしてモータースポーツの血が流れたモデルを市場に提供するところで、2022年のロサンゼルスモーターショーで発表され、現在ポルシェエンスーの熱い眼差しが注がれている911ダカールはその典型的な例である。
■モロッコにてダカールを試乗!
今回、「ダカール」の市販バージョンの試乗会がモロッコのエラキディア郊外で開催された。すでに公表されているように、ダカールのベースはカレラ4GTSで搭載されるエンジンは水平対向3Lビターボ、最高出力は480ps、最大トルクは570Nmを発生、トランスミッションは8速PDKが組み合わされ、4輪を駆動する。
性能は0-100km/hが3.5秒、最高速度はオフロードセッティングでは170km/h、後述するスペシャルオフロードタイヤのためにオンロードでは240km/hに抑えられている。
白地に当時のスポンサー、ロスマンズカラーを配したボディはオフロード走行に向けてフロントとリアにステンレス・スチール製のアンダーガードを装備、エアインテークには強固な金網が貼られている。
シャシーセッティングはスポーツサスペンションを装備したスタンダードのカレラよりも50mmアップ、さらにもう一段30mmのリフトが可能で最高レベルでの最大地上高は161mmとなる。
スタンダード装着タイヤはこのダカールのために開発された専用のピレリ・スコーピオン・オールテレーン・プラスで、サイズは245/45R19 (前)と295/40R20(後)、二重構造の強化カーカスにトレッドの深さは9mmもある。
加えてリア操舵(4WS)、ポルシェ・ダイナミック・シャシー・コントロール(PDCC)、エンジンマウントはGT3から移植されたリジットなものになっている。さらにリアコンパートメントにはロールケージが組み込まれ、安全対策も万全である。
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