■車重増加はノーマル911からわずか10kg!
こうしたさまざまな対策にもかかわらず、リアシートの取り外し、カーボン製ボンネットや固定式リアスポイラー、さらにフロントとリアウィンドウは軽量薄型タイプに交換され、軽量バッテリーの採用などによって空車重量は1605kgと911カレラGTS(PDK)よりもわずか10kgの重量増加にとどまっている。
スタンダードと大きく変わらない運転席と見慣れた操作系がエキサイトした私を落ち着かせてくれる。ダカールのドライブモードにはウェット+、オフロード、そしてラリーの3種が新たに加わっている。
ラリーモードはミューの低い不正路面を考慮したものでリア駆動を強調したマッピングが与えられている。またオフロードモードは3cm車高を上げてトラクションと悪路走破性を高めたセッティングである。
■ダカールの操舵感には不安はみじんもなし!
テストコースはダカール・ラリーの参加者がトレーニングをすることで知られている場所でもあった。当然ながらコースはこぶし大の石がゴロゴロ転がっている未舗装路で、まずはオフロードモードで進む。
ボディは大きく揺すられるが4輪は路面をしっかりと捉えており、ステアリングホイールからは確実に路面からの情報が伝わってくるので操舵に不安感はない。続いてラリーモードに切り替えて速度を上げて行くが、ここでは後輪に一層のトラクションが加わり面白いようにドリフトを楽しめる。
さらに望めばこのモードでレーシング・スタート、すなわちローンチコントロールも可能だ。やがて前方に砂漠が広がってくるとタイヤの空気圧を1.2バールにまで下げるように指示が入る。
■オンロードでもオフロードでも「ポルシェ」だった!
しばらくすると見上げるような砂丘が現れるが、19度のアプローチアングルとPTM(ポルシェ・トラクション・マネージメント)を持ったダカールのミューの低い砂丘へ向かっての登坂能力は、まるでサーファーが波に乗るようにスマートに駆け上がることを可能にする。参加したジャーナリストは皆、子供に返ったように砂遊びを楽しんだ。
一方、帰路のアスファルト道路での走りでは固く荒いプロフィールを持ったオフロードタイヤでも快適な乗り心地が確保されており、さらに速度を上げるとドイツのアウトバーンで育ったスポーツカー911の持つスポーティなハンドリングと高速安定性を発揮した。
911ダカールは単にスペーサーで車高を上げただけのワゴンベースの「自称オフローダー」とは違って、日常のドライブをこなしたうえにその気になればオプションのルーフキャリアにスペアガソリンや飲料水を積んで荒野、砂漠に向かって本格的な冒険ドライブが可能なホンモノであった。
スポーツカーとオフローダーという、相反する性能を高いレベルで1台に融合した911ダカールは2500台の限定生産で、ポルシェジャパンはすでに予約を受け付けており、価格は3099万円と発表している。果たして何台が日本向けに割り当てられているかは不明だが、2024年の春以降には日本に陸揚げされるはずである。
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