アドバンの伝統ここに極む!! 極秘テスト潜入で見えたAD09の懐の深さ


 横浜ゴムが誇るスポーツタイヤ「アドバン・ネオバ」。サーキットでの性能も視野に入れた超ハイスペックなタイヤだが、そんなネオバがAD08RからAD09へと進化した。すでに詳細はこちらでお伝えしているが、性能的な進化はもちろんのこと「ネオバ」としての真価を発揮する存在へと昇華した。

 今回は筑波サーキットで極秘裏に行われた開発テストにベストカーWebが自動車Webメディアとして独占潜入。開発エンジニアおよびテスターを務める織戸学選手、谷口信輝選手にもハナシを聞いた。あなたが考えている「ハイグリップラジアル」のイメージがもしかしたら覆されるかもしれません!!

文:ベストカーWeb編集部/写真:池之平昌信【PR】

【画像ギャラリー】ベストカー独占潜入!! 織戸・谷口コンビの超精細開発現場を見よ(8枚)画像ギャラリー

■筑波のラップタイムだけじゃないネオバの深さ

11月下旬の凍てつく寒さのなか、横浜ゴムはHKSのGRヤリスなどでAD09開発の最終チェックを行った。ベストカーは極秘テストに異例の取材許可を得た

 ハイグリップラジアルといえばドライでのグリップを限界まで追い求め、硬い乗り味に激しいロードノイズ、さらに扱いにくくて日常使いはなかなか厳しいというイメージを持っている人も多いのではないだろうか?

 横浜ゴムが発表したハイグリップラジアルタイヤ「アドバン・ネオバ」の最新作AD09も、そのような立場に立たされるタイヤだ。しかし、AD09については開発ドライバーのひとりである織戸学選手が「ラップタイム至上主義」を否定する。

「ネオバを履いてサーキットにいって、サーキットでドライビングを楽しんで、またネオバで家まで安全に帰ってくる。それがネオバの立ち位置だし、俺たち開発ドライバーが求めてきたところなんだよね」。

これがテスト最終段階のAD09プロトタイプ。最終チェックのテストはあいにくのウェット路面だったが、それでもAD09は最後の1分まで走りきり開発を完遂した

 もちろん全世界数億人はいるであろうアドバンファンからしたら、最強のネオバが軟派になっていると感じる人がいるかもしれない。もちろんそんなことはなくサーキットでの走行性能についてはぬかりなく、ロングライフでグリップ感が分かりやすいというスポーツラジアルの性能を底上げしている。

 AD09設計担当の横浜ゴムの堀内さんによれば、いわゆるタテとヨコのグリップのバランスを見直したことに加えて、ヨコ方向の性能にも開発の伸びしろがあり、妥協なくブラッシュアップもしているという。

 技術の進歩もあり先代AD08Rからの進化幅は相当大きい。

「ラップタイムだけでAD09を語る人もいるだろうけど尖った性能を求めていない。全体的に高い次元で公道からサーキットまでの性能を求めたのがAD09なんだ」と谷口選手は語る

「やっぱりネオバというとさ、ハイグリップで筑波何秒って話ばかりになるじゃん? もちろんそれも大事なんだけど、実際にネオバを履くお客さんたちは圧倒的にストリートを走る時間が多いんだよね。だから交差点を曲がるだけでもクルマが楽しくなるタイヤを目指したよ」と谷口信輝選手が付け加える。

 開発ドライバーのふたりが共通して話すことは「タイムを求めること」よりも使いやすく奥ゆきの深いタイヤを作ること。織戸選手は「AD09はサーキット”を”走るタイヤではなくて、サーキット”も”走るタイヤ。がむしゃらにタイムを求めるならアドバンA052という選択肢もあるからね」と話す。

■タイヤのビジュアルだってクールじゃないと

トレッドパターンの原画はなんと織戸さんが描いた。一直線の溝を描くタイヤが多いなかAD09は曲線主体のトレッド。もちろん実益も兼ねている

 そうそう、ネオバといえばその独特なトレッドパターンに触れないわけにはいかない。近年はストレート溝のタイヤが多いなか、AD09は実に複雑な曲線を描いたトレッドパターンになっている。

「あっ、トレッドパターンいいでしょ? これ俺が原画デザイン描いたんだよ。クルマがかっこよくてもやっぱりタイヤのパターンがかっこ悪いとダメでしょ」と織戸選手。デザイン画を描いちゃうなんて多彩すぎやんっ……。

 もちろんスタイリングばかりではなくてこの絶妙なパターンがサーキットを攻めてもブロックが捩れたり、飛んだりするのを防ぐ効果があるという。AD09設計担当の堀内さんは、大きな開発方針としてネオバを現代のクルマに対応するべく、まずは剛性を上げることに着手したという。

製品企画の小畑さん(左)と設計担当の堀内さん。やはりネオバというタイヤを作り上げることは相当なエネルギーが必要だったそうだ

「剛性を上げるのって実は簡単なんです。すごく単純に言えばどんどん固くしていけばいいので。でもそれだとゴツゴツして乗り心地は悪化しますし、思ったとおりのグリップを得ることができない。このバランスをとるのが非常に難しいのですがAD09は実現しています」と堀内さんは胸を張る。

 また製品企画を担当した横浜ゴムの小畑さんによればAD09の開発に着手した時期は2018年頃とのことで、スープラやGRヤリスが登場する前のことだったという。スープラが登場してからは開発車両としてスープラを導入し、86やBRZ、WRX STIなど幅広い車種での開発テストをこなしてきたという。

開発ドライバーからのフィードバックが続くテスト現場。タイヤが仕事をするための要素を整理して、開発エンジニアに伝えられるドライバーだからこそ勤まる仕事だ

「どの車種に履いていただいてもマッチングするのがネオバですから、開発車種も少し幅を持たせました。タイヤを変えてすぐにわかってもらえるようなキャラクターにしていますので、サーキットに関わらず市街地でもすぐ性能を感じてもらえますよ(小畑さん)」。

 ハイグリップラジアルタイヤと聞くと「サーキット専用」に近いと思う人が多いが、さすがはアドバン・ネオバ。ひと味違う開発方針だったというわけだ。街乗りの法定速度でもクルマの動きをじっくり感じて楽しめるコンセプトが嬉しい。

「スポーツカーに乗っている人ならサーキットのタイムアタックだけじゃなくてもオススメしたい。AD09は自信をもって勧められるタイヤだよ」。白い歯でニッコリ笑う谷口信輝の姿が印象的だった。

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