大型クラスを超えた破格のトラック

6TWシリーズの歴史は、1956年(昭和31年)に開発された「6TW型(のちに6TW10型)」から始まる。前年に登場した最新の単流掃気式2ストローク直噴ディーゼルOHVエンジン・UD型シリーズのうち、もっとも大きい7.4リッター6気筒の「UD6型」(最高出力230PS/2000rpm・最大トルク90kgm/1300rpm)を、新設計の3軸6×4駆動シャシーに搭載した車両総重量20トンのボンネット型トラックで、荷台長20尺(6.0m)の平ボディ車は最大積載量10.5トンを実現した。
いまの感覚だと、このスペックの凄まじさは伝わりにくいと思うが、1950年代の民需用大型トラックの主流は5~6トン積トラックで、エンジンは100~120PS・荷台長は14~15尺(4.2~4.5m)、その上位に7~8トン積トラックがあり、エンジンは150~190PS・荷台長は14~16尺(4.2~4.8m)……という車格感だった。それらと比較すると、6TW型がいかに破格の大型トラックであったかがわかるだろう。また、3軸6×4駆動のリア2デフ車というのも当時の国内では唯一だった。※
※6TW以前から国産の3軸トラックは存在しているが、戦前の6×4および6×6(総輪駆動)は軍用前提、戦後しばらくは6×6(やはり軍用前提で民需にも供給)のみで、民需専用の6×4は6TW型が最初だった。
トランスミッションはコンスタントメッシュの5段マニュアルで、4速が直結、5速がオーバードライブ。ユニークなのは、そのギアボックスの後方にトランスファ(副変速機:Hi段1.0/Lo段1.345)も搭載し、高速走行から急勾配・不整地走行まで、様々な場面で駆動力を発揮できるよう設計していたことだ。しかも、このトランスファから差動機構を経て、2軸目用プロペラシャフトと3軸目用プロペラシャフトが分岐し、それぞれのアクスルへ駆動力を伝達するというドライブラインをもっていた。Lo段選択時は後2軸間の差動制限(デフロック)も可能だった。
6TW型は10.5トンという大輸送力に加えて、最高速度90km/hという高速性能(5~6トン積車より速かった)から運送業界の注目を集め、1958年に本格的な販売モデルとなる「6TW11型」が登場する。6TW11型は、ラダーフレームシャシーのサイドレールを一新するとともに、カーゴ向けホイールベース5300mmシャシー(6TW11)とダンプ向け4300mmシャシー(6TW11S)を展開した。
