世界進出する中国FOTONの小型EVトラック! 「欧馬可・智藍」は国産EVのライバルになりうるか? 【国産小型EVトラックの競合車】

海外では2モデル展開の市場も

オゥマークiブルーのインテリア。カラーLCDパネルをメーターパネルとセンターパネルに組み込んでいる
オゥマークiブルーのインテリア。カラーLCDパネルをメーターパネルとセンターパネルに組み込んでいる

 海外のオゥマークiブルーは、「eオゥマーク」(欧州・香港・アルゼンチンなど)、「フォトンF6.80」(ドイツ)、「iブルートラック」(オーストラリア)、「iブルー85」(タイ)、「フォトンS3EV」(メキシコ)、「トルネードEV」(フィリピン)、「FKR EV」(コロンビア)など仕向け地によって名称が異なる。

 キャブ幅やホイールベース長は中国向けと同じだが、車格はGVW4.25トン、GVW4.5トン、GVW5.5トン、GVW6.0トンと違いがあり、ポーランド・イタリア・オーストラリア・タイでは、GVW4.5トン(ポーランドは4.25トン)車型と6.0トン車型の2モデルを展開する例もある。

 モーターは連続出力64kW/最高出力115kWと表記しているものが多く、バッテリー容量も81.14kWhのみがほとんどで、オーストラリア仕様がオプションで100kWhを用意する程度である。

 基本的なスペックも総じてほぼ同じだが、航続距離は仕向け地によって異なり、国連WLTPモードのポーランド仕様は170kmと表記されている。急速充電時間は、欧州標準のCCS2方式で1.2~1.5時間となる。

 安全装備は、ドイツ・ポーランド・イタリア・アルゼンチンなどでは、衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)、車線逸脱警報(LDWS)、車両挙動安定装置(VSC)といったADASを装備している。

 「eキャンター」「エルフEV」さらにイヴェコの「eデイリー」ほどのワイドバリエーションをもたないのは、前回のヒョンデの「マイティエレクトリック」と同様だが、小型EVトラックとしてのカタログスペックは、十分に優れたものといえるだろう。

日本と欧州に先行する動き

福田傘下の独・特殊車両メーカー、ブロック社が販売するオゥマークiブルーのドイツ仕様「フォトンF6.80」
福田傘下の独・特殊車両メーカー、ブロック社が販売するオゥマークiブルーのドイツ仕様「フォトンF6.80」

 また、ポーランド・イタリアの両仕様には、「ePTO」(電気動力取出装置)の設定が明記されている。カタログ写真を信じれば、高電圧バッテリーから電力を取り出すタイプのePTOとみられるが、おそらく冷凍車の架装を考慮したものだろう。出力は連続10kW/最高15kWとしている。

 一方、ドイツでは独特の販売アプローチを採っている。福田汽車は、2016年に特殊車両メーカー・ブロック社を買収したが、それを拠点として、オゥマークiブルー(フォトンF6.80)とGVW16トン中型EVトラックのキャブ付きシャシーを販売しようとしている。

 しかも、福田製シャシーにブロック製の上モノを架装した「EV路面清掃車」も販売する計画で、中国製トラックの実績がほとんどない欧州市場に対し、まだまだ実例の少ないEV特装車をいち早く商品化することで、浸透を図ろうという考えだ。

 ドイツのおとなりの国・ポーランドでは、現地企業・Zasadaグループと提携し、オゥマークiブルー(eオゥマーク)を現地生産する予定である。すでに同国中央部に設立した工場(2500平方メートル)で、組立を開始しているともいわれている。

 そして、先進国地域だけではなく、東南アジアや中南米へも小型EVトラックを積極的に展開している点も注目すべきだろう。これらの市場で、実際にEVトラックが受け入れられるかどうかは定かではないが、日本や欧州に先行する動きであることは間違いない。いまはごく限られたバリエーションとはいえ、市場要望を今後採り入れていけば、決して侮れない存在となる可能性もあるだろう。

【画像ギャラリー】中国・北汽福田汽車の小型EVトラック「欧馬可・智藍」の各国仕様とスタイリング(12枚)画像ギャラリー

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