一台積み車両運搬車はいつからある? 知られざる50年の歴史に迫る!!【働くクルマの大図鑑】

空前の新車需要

タダノのスーパーセルフローダSS-25型。1983年に半スライド式SS-20型を投入したタダノは、90年に本格スライド式のSS-25型を開発する。写真は91年のカタログより<br>
タダノのスーパーセルフローダSS-25型。1983年に半スライド式SS-20型を投入したタダノは、90年に本格スライド式のSS-25型を開発する。写真は91年のカタログより

 90年のバブル景気で新車販売台数が増大すると、スライド車載車の需要も拡大した。

 それに呼応するかのように、タダノでは荷台全体が傾斜する「SS-25型」を新たに開発。

 ユニックでは車載車の生産拠点を古河金属小山工場に移転/拡大し、新モデル「UC-26型」を発売した。

 さらに90年には、新明和工業が新開発の「セフティキャリア」でスライド車載車に進出している。

荷台傾斜角0度の実現

極東開発工業のフラトップJN03-40型。1991年登場の画期的な荷台接地型スライド車載車で荷台傾斜角0度を実現。従来型スライド車載車でもローアングル化が進む端緒となった
極東開発工業のフラトップJN03-40型。1991年登場の画期的な荷台接地型スライド車載車で荷台傾斜角0度を実現。従来型スライド車載車でもローアングル化が進む端緒となった

 91年、それまで車両運搬車を手掛けたことのなかった極東開発工業が、スライド車載車「フラトップ」を発表し、「荷台傾斜角0度」という究極のスペックを実現した。

 スライド車載車の荷台傾斜角は11度程度で充分と言われていたが、最低地上高の低いスポーツカーは別で、フラトップはそういったクルマをも楽に積載できる車載車を目指し、荷台全体を設置させるメカニズムを開発したのである。

 このスタイルは自動車販売会社はもちろん、JAFなどロードサービス業界でも被救援車を選ばない車載車として好評を博すことになった。

拡大するローアングル化

 これが契機となって、90年代以降はスライド車載車のローアングル化へと進むことになる。

 従来スタイルのスライド車載車でも、荷台傾斜角7〜8度を実現してスタンダード化すると、00年代には4〜6度クラスへとさらにローアングル化が進んだ。

 90年代末〜00年代にかけては、極東以外のメーカーからも荷台接地型が現れ、0〜3度クラスの選択肢も広がっていく。

 半面、ローアングル化は高価で、かつ大半のクルマはローアングルでなくとも積載できることから、現実として市場はそこに収斂せず、傾斜角クラス毎に定番モデルが存在するような形に落ち着いた。

 一方、10年代には、荷台駆動を電動化する試みが進められ、タダノが実用化(エスライド・ハイブリッド)したほか、日野自動車と極東開発工業が共同開発を行なった。

 後者は結実しなかったが、いずれも電動車載車の先駆けとなる取り組みである、今後につながる技術となるだろう。

【画像ギャラリー】50年の歴史が丸わかり!! 架装メーカー各社の一台積み車両運搬車開発の軌跡(7枚)画像ギャラリー

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