関係者のコメント
ドイツの運輸・デジタル大臣のフォルカー・ヴィッシンク氏のコメントは次の通りだ。
「ドイツの高速道路を使った初めてのレベル4自動運転トラックの試験が行なわれました。自動運転法の成立によりドイツが欧州をリードしているという証明です。私たちは自動運転とコネクテッド技術で市場をリードすることを目指しています。
貨物輸送量がかつてなく増えるいっぽう、ドライバー不足がますます深刻化し、社会全体の課題となっています。自動運転トラックはこの状況を改善するのに役立つでしょう。
加えて、インテリジェントな貨物ネットワークを構築することで道路から鉄道への積替えも容易になり、環境にやさしい複合輸送を強化する機会が訪れると思います」。
また、MANトラック&バスSEのCEO、アレクサンダー・フラスカンプ氏は次のようにコメントしている。
「本日、私たちは自動運転トラックの実用化に向けて大きな一歩を踏み出しました。自動運転は脱炭素と並ぶ自動車業界の目標の一つです。
今年(2024年)はプロトタイプによる高速道路での試験走行を予定しています。2025年から典型的なハブtoハブ輸送を想定したプロジェクトを開始し、2030年より前に自動運転トラックの量産化を行なうというスケジュールで開発を進めています。
自動運転法の成立は、それを実現するためのセキュリティを確保する上で、この業界にとって不可欠なものです。しかしながら、アウトバーンを始めとするインフラ事業者との緊密な連携も併せて必要になります。公道での自動運転は関係者が協力してはじめて実現可能となるのです」。
いっぽう、高速道路会社(アウトバーンGmbH)の技術マネージング・ディレクター、ディルク・ブランデンブルガー氏は次のように話している。
「アウトバーンGmbHはドイツの高速道路における自動運転で主要な役割を担っています。
私たちは高速道路の一部区間で自動運転を認可しているだけではありません。道路インフラと車両の間のネットワークとコミュニケーション、いわゆる協調型インテリジェント交通システムを積極的に推進しています。
これは自動運転車が公道を走る際の安全に関わっていますので、運行を許可する上で非常に重要な要素です」。
自動運転トラックの最初の試験走行は、MANのコンセプトをアウトバーンGmbHが審査し、4月初めに当局(連邦自動車交通局)が正式にライセンスを供与した。
将来的に自動運転車両を運行可能な高速道路を認定するのはアウトバーンGmbHの責任になるとみられている。車両を運行する事業者が自動運転で走行するルートを指定し、アウトバーンGmbHは運行計画が適切かどうかチェックするという仕組みだ。
自動運転トラックの開発は米国が先行していたが、ドイツでは2021の法改正でレベル4相当の運行が可能になり欧州をリードしている。日本も2023年にL4自動運転を可能とする道路交通法改正が行なわれ、コロナ禍を経て顕在化した世界的なドライバー不足を背景に、中国企業なども含めて開発競争が激しくなっている。
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