いすゞ自動車は、米国カリフォルニア州に本社を置くGatik AI Inc.と北米自動運転事業におけるパートナーシップの構築を目指し、3000万USドル(約47億円。1USドル=155.8円で計算)を出資すると発表した。
両者はこの資本業務提携を基に、強固なパートナーシップを構築し、自動運転レベル4による移動サービスの社会実現を目指すとしている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/いすゞ自動車・Gatik AI Inc.
いすゞが目指す自動運転ソリューションへの挑戦
いすゞは4月に公表した中期経営計画「ISUZU Transformation – Growth to 2030」(略称:Ⅸ)において、新事業の柱として「自動運転ソリューション」「コネクテッドサービス」「カーボンニュートラルソリューション」の3領域を掲げている。
このうち自動運転ソリューションへの挑戦としては、パートナーと協創することでSAEの定める「レベル4」、すなわち「特定条件下における完全自動運転」を早期実現し、2027年度中に自動運転技術を用いたトラック・バスビジネスの確立を目指すとしている。
パートナー企業としては、これまでにAI技術を活用して自動運転等の安全をシミュレーションする技術を開発・提供しているイスラエルのForetellix、オープンソースの自動運転ソフトウェアや自動運転バスなどを開発しているティアフォーなどと、資本業務提携を結び自動運転事業の確立に向け取り組んできた。
自動運転事業への参入と新型シャシーの開発
今回のGatikとの提携では、自動運転事業の開発および、自動運転システム搭載を前提に安全性を担保した新たなシャシー(冗長シャシー)の設計・開発に関する協業を行なう。
Gatikは、北米のミドルマイル(流通センターや配送センター間をつなぐ中距離・中間物流を指す)で自動運転物流サービスを提供する唯一の企業で、小型および中型の自動運転トラックを使用して、商品を安全かつ効率的に配送する物流サービスを展開。
Gatikのクラス3〜7(小型〜中型)の自動運転トラックは、すでに米国のテキサス・アーカンソー、カナダのオンタリオをはじめとする各州の市場で商用展開されている。
また同社は、特に大手企業向けのBtoB物流に注力しており、2021年にはミドルマイルで完全無人商用配送にも成功した。
いすゞは今回の提携により、米国・カナダでマーケットリーダーの地位を確立しているLCF(Low Cab Forward Trucks)市場で、ミドルマイルにおける自動運転事業に参入し、北米で深刻化するドライバー不足や急増する配送ニーズなどの社会課題の解決を積極的に推進していく方針だ。
さらに、自動運転システムの搭載を前提とした新たなシャシーの開発では、2027年度中の量産開始を目指すとしている。
【画像ギャラリー】Gatikの自動運転システムを搭載したいすゞFシリーズをギャラリーで見る(3枚)画像ギャラリー