衆院選の結果を受けたドタバタの裏で、運転免許に関する改革が進行している。10月29日、運転免許証をマイナカードと一体化する「マイナ免許証」が閣議決定されたのだ。このマイナ免許証、実現するとどんなメリットがあり、どんな不都合が考えられるのだろう?
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock(トビラ写真=楠 英浩@Adobestock)
■運転免許証を持ち続けることもできる
国政は次の政権を巡って大騒ぎだが、その裏で運転免許証とマイナカードを一体化する動きが進んでいる。今回の閣議決定によれば、免許証情報をマイナカードに書き込んで一つにした「マイナ免許証」が、2025年3月24日から通用するようになる。
マイナカードとの一体化といえば、12月2日から健康保険証がマイナ保険証に切り換わる。基本的に健康保険証は廃止となるわけだが、マイナ免許証によって運転免許証も同じ道をたどるのだろうか。
まず理解しておきたいのが、運転免許証はなくならないということ。マイナ免許証はマイナカードとの一体化を希望した人だけに適用され、希望しなければ既存の運転免許証を持ち続けることができる。ちなみにマイナ免許証と運転免許証、両方を持つことも可能だそうだ。
マイナ免許証の運用だが、マイナカードの券面には免許証番号や有効期間などは一切記載されない。そういった情報をどうやって確認するかというと、専用のスマホアプリを使ってカード内部の情報を読み出すスタイルをとるという。
【画像ギャラリー】更新手数料が2100円と安いマイナ免許証のアップはこちら!(6枚)画像ギャラリー■マイナ免許証を持つとどんないいことがあるの?
マイナ免許証を持つとどんないいことがあるのだろうか。
最大のメリットは更新時の手数料が安くなることだ。現時点で運転免許の更新手数料は2500円。これがマイナ免許証導入と同時に値上げされ、2850円になる。ところがここでマイナ免許証を選ぶと手数料は値下げとなり、2100円で済む。
マイナ免許証へ誘導するための施策であろうが、750円の差は確かに心が動く。ちなみにマイナ免許証と運転免許証、両方持つ場合の手数料は2950円だ。
もう一つ大きいのが、更新時の運転者講習がオンラインで受講できるようになること。優良運転者と一般運転者(3点以下の軽微な交通違反1回のみの人)に限られるが、一定時間身体を拘束される講習が自宅などで受けられるようなる点はメリットだ。
オンライン講習は手数料も安い。現在は有料運転者で500円、一般運転者で800円払っていた手数料が、いずれも200円になるのだ。
気を付けたいのは、免許の更新手続き自体はなくならないという点。講習こそオンラインになるが写真撮影や視力検査は必要なため、最寄りの警察や運転免許センターで出向く手間は残るから注意しよう。
唯一省略できる手続きといえば、住所変更だ。これまで、引っ越しなどで住所が変わると、自治体での転出・転入届とは別に、警察署で免許証の住所変更を行う必要があった。マイナ免許証では自治体での手続きが免許情報にも反映されるから、手続きがワンストップで済むという次第。
■マイナ免許証のデメリットとは何?
ではマイナ免許証のデメリットとはなにか。
そもそもマイナンバーについては、他人の健康保険証や年金記録が誤って紐づけられてしまうミスが相次ぎ、社会問題ともなった。運転免許証も重要な個人情報を記録しているだけに、同様のミスが発生したら、思わぬ不利益を被ることが考えられる。
紐づけミス防止について警察庁では、「本人」「マイナカードの顔写真」「運転管理システムの顔写真」の照合を徹底するほか、免許証情報をプリントして本人と確認するなどして最大の注意を払うとしている。
もう1点、マイナカードと運転免許証、それぞれ有効期間が異なることも面倒のタネになりそうだ。
マイナカードは10年(未成年は5年)、運転免許証は3~5年(違反歴による)と有効期限が異なるので、場合によっては運転免許証の更新とマイナカードの更新が立て続けに起きるといったケースが考えられる。
いかがだったろうか。更新の煩雑さなどがすべて解決するわけではないが、マイナ免許証が一定の利便性を持っていることは確かといえそうだ。メリット、デメリットを理解したうえでマイナ免許証を選択するかどうか、判断の目安にしてほしい。
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