かつてブームの一翼を担ったフェラーリ 512BB。スーパーカー世代直撃の懐かしいモデルだ
試乗はおなじみプリウス武井。本名武井寛史。一応レーシングドライバーとしても活動する映像製作会社社長(社員なし)であり「稀代のスーパーカー手配師」と呼ばれる男。愛車がリースの3代目プリウスのため、当連載ではプリウス武井を名乗る。「もちろん今回も人から借りて乗ってます」(プ)
アクセルを踏み込めば官能的なエキゾーストノートが
基本シャシーは365GT4/BBの鋼管フレームを流用。ボディデザインも大きく変わっていないように見えるがフロントやサイド、テールなどがアップデートされている。ボディサイズは全長40mm、全幅30mmも拡大。リアトレッドは1520mmから1563mmにまで広がった
フォトジェニックなカウンタックのドアオープンに対抗し、512BBは前後フードを全開にした「スーパーカー開き」がお約束
スーパーカー小僧が歓喜したリトラクタブルヘッドライトは丸目2灯。ボンネットに備わるアルミ製ルーバーパネルはラジエターの熱を放出するためのモノ
365のデザインを踏襲しているフロントノーズだが、512BBではフロントバンパー下部がチンスポイラー形状になり空力効果を狙ったデザインに進化
前方に開くフロントフードにはラジエターや冷却ファンなどが剥き出しで収まる。応急用タイヤが収まるほかラゲッジスペースの機能もある
サイド部には365にはなかったNACAダクトが追加された。高い速度域まで誘うためエキゾーストシステムまでも冷却効果を追求した
ドアに装着されるミラーはイタリアのビタローニベビーターボミラー形状。鏡の面積のわりには後方の視認性は悪くない
ワイパーはシングルアームなのだが、湾曲した大きなガラス面の水滴をきれいに拭き取るために小さいサイズのブレードも装着されている
365BBから大きく変貌したのがテールデザイン。丸3連テールから丸2連テールに変更。これ以降、1980年代中期にラインナップされたF40などに採用される
先代モデルの365と同様、黒いボックスが特徴的なエンジンフードには、エンジンルーム内の熱を放出する効果をねらったフィンが全面に入った
縦置き180°V型エンジンは搭載位置を低くすることでMRとしての運動性能に貢献。跳ね馬伝統の180°V型12気筒エンジンはテスタロッサへと継承されていく
512BB標準装着ホイールは星型マグネシウム製でノックオンスピンナーのセンターロック式。タイヤはミシュランXWX。F)215/70VR15、R)225/70VR15
365BBでは片バンク3本出しだったテールエンドは片側2本に変更。跳ね馬12気筒の嘶きはまさに王者の貫禄
オリジナルが色濃く残るコックピット。ドライバーズシートからの目線は低く視認性も抜群。45年以上前の個体にも関わらず経年劣化が軽微で後世に残すべき最高の一台
スポーツカーでありながら高いパフォーマンスと快適な長距離ドライブを両立したグランツーリスモ。パワーウィンドウなどの充実した機能も備わる
メーターパネルの数字は橙色に近い赤色。スピードメーターは330km/hまで、タコメーターは1万rpmまで刻まれている。中央の補助メーターは水温計と油圧計
レザー製シートはシートバックの左右がせり上がったバケット形状のデザイン。ホールド性はともかくドライビング姿勢は体格を選ばない形状
サイドシル部にはフタがあり、開けるとシガーライターと灰皿が現われる。先進国では世界的にタバコを吸わない文化は根付きつつあるが、1970年代スーパーカーの必須装備だった
シートの背もたれを前に倒すと荷物が載せられるラゲッジスペースが現われる。限られた空間を有効活用する工夫
シートバックのダクト。オーディオスピーカーが収まっているのかとも思ったが、どうやら通気口のようだ。エアコンがなかった頃、ドライバーの冷却効果を狙った装備か
512BBのクラッチはツインプレートが採用されペダルがかなり重く踏力が必要。後期モデルになると若干改善はされるが往年のスーパーカーをドライブするのはそれなりのスキルが求められる
東北地方のスーパーカーコミュニティをけん引するのが、今回撮影にご協力いただいたパドックパス。新旧スーパースポーツカーを扱うノウハウを持つショップだ。ありがとうございました! 住所:宮城県名取市上余田千刈田843-1