■初代登場から60年目の登場で「あえて2024年型」に
話をマスタングに戻そう。今回アンベールされたマスタングは7世代目となる。年式はあえて2024年型とした。理由はシンプルで、1964年からちょうど60年目に当たるからだ。初代は1964年4月17日に登場し、初年度モデルは「ロクヨンハーフと呼ばれた。
ちなみに、従来型の6代目モデルは2013年12月にリリース。世界4大陸、6都市で同時に披露された。個人的にもそれに参加し、その瞬間をオーストラリアの首都シドニーで体験した。まだ日本にフォードジャパンがあり、マスタングをグローバルで販売しようと計画していた時代の話である。
2024年型マスタングの特徴は、生配信されたプレゼンテーションから読み取ると、デザイン、V8エンジン、スリーペダルのMT、それとデジタル化されたメータークラスター、といったところだろう。パワーソースは5LV8と2.3L直4ターボのエコブーストの2本立てとなるようだ。ハイブリッドモデルなどは言及されていない。
■スペシャル版に「ダークホース」発表
また、スペシャルバージョンとして新たに「ダークホース」を発表した。スタンダードモデルをチューンしたモデルでV8ユニットは500hpを発揮するらしい。ボディ各部が文字どおりブラックアウトされている。
このほかでは、モータースポーツへの挑戦が後半で語られた。GT3やGT4カテゴリーのモデルをラインナップし、国際的なレースからNASCARやデイトナ24時間レースなどに参戦するようだ。
そして最後にエグゼクティブチェアマンであるフォード家直系のビル(ウィリアム)・フォード氏が登壇。1960年代フェラーリと鎬を削った「ル・マン24時間レースをもう一度」と口にすると、会場は大盛り上がり。復活したフォードGTでの時もそうだったが、今回もホットなニュースである。
■マスタングが世界中でアイコンとして愛される理由
ではなぜ、マスタングは世界中のクルマ好きから「アイコン」として愛され続けるのだろうか。それはこのクルマの生い立ちに関係する。というのも、1964年のアメリカには大衆的なスポーティカーがそれまで存在しなかったのだ。
1953年リリースのシボレーコルベットや1955年のフォードサンダーバードはあったが、どちらも毎年進化し、高価なプレミアムスポーツカーとなっていた。マスタングのスタートプライスは当時2000ドル前半だったから、多くの人がそれほど無理をせずに買えたようだ。1966年には年間60万台くらい売れたのを記憶している。
また、当時のデザイン性の高さもヒットに関係する。スポーティさがあり、エレガントさも感じる。象徴的なのは1966年公開の映画『男と女』。このフランス映画でオープニングから登場するマスタングに魅了された若者は少なくなかったと思う。かなりオシャレなビジュアルだ。ヨーロッパでマスタングが認知された瞬間だろう。
■日本ではヒーローが乗るクルマとして鮮烈なイメージ!
それじゃ、我々日本人はマスタングにどんなイメージを持ったかといえば、それはずばりアメリカ。マスタングはアメリカ映画のなかでヒーローとなる主人公が乗るクルマとして多く使われている。
昔なら『ブリット』、近年なら 『ジョンウィック』だろう。『バニシングin 60』、『60セカンズ』、『ワイルドスピード』、『007ゴールドフィンガー』などなど。『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』もそうだが、TVドラマまであげればキリがない。
ということで、新型もアメリカンなイメージのまま登場。ファンを裏切らないのがマスタング。個人的にも所有したことあるが、やっぱり楽しいクルマだ。
まだ所有したことがなくて興味のある方は、一度ステアリングを握るといいだろう。ヨーロッパ車とも日本車とも違う雰囲気を感じるはずだ。目の前の景色が一気にカリフォルニアになる。
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