2022年9月22日、ホンダは軽自動車N-WGNのマイナーチェンジを発表、翌日9月23日から全国のホンダ販売店にて発売する。N-WGNはホンダ「N」シリーズの一角を占める軽ハイトワゴン。今回のマイチェンで「踏み間違い事故防止用の急アクセル抑制機能」を、ホンダとして初採用した。以下、その内容を整理してお届けしたい。
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、HONDA
■「こういうクルマ」にこそ必要な先進安全装備
ホンダは「2050年までに、全世界でホンダの二輪・四輪が関与する交通事故死者ゼロを目指す」という、かなり気合いの入った目標を掲げ続けている。衝突軽減ブレーキを含む先進安全運転支援システムの導入により、追突事故や歩行者事故は減少傾向にあるとはいえ、「事故死者ゼロ」というのは非常に高い目標。
現実に妥協せず、高い目標を掲げ続けて、やれることは全部やる姿勢で臨むのは、大変「ホンダらしい企業風土」とはいえる。
今回、踏み間違い事故防止用の急発進抑制機能をホンダとして初めて装着したのがN-WGN、というところに「ホンダの本気」が見てとれる。こういう「あまり運転に慣れていないような人が乗りそうなクルマ」にこそ、より先進的な安全装備が必要なのは間違いないところ。
ホンダが採用した急発進抑制機能は、一定以上の勢いでアクセルを踏む(つまりブレーキと勘違いしたような踏み方でアクセルを踏む)と、クリープ程度の速度にしか加速しない、そのまま5秒以上踏み続けると30km/hまで(バック時は12km/hまで)加速する、という仕組み。
もちろん、ある程度ゆっくりアクセルを踏み込めば普通に加速してゆくし、ブレーキペダルを踏んでから2秒以内にアクセルを踏めば(急発進であっても)踏力に応じて加速するので、緊急回避動作などにも対応できそう。
この機能はN-WGNの全グレードに標準で装備されているが、工場出荷時にはこの機能は「オフ」に設定されており、ディーラーオプションとして5,500円支払えば「オン」に出来る(不要な人は「オフ」のままでよいという配慮から)。
取材に応じてくれたホンダ担当開発者によると、本機能は制御ソフトの書き換えのみで装備できるとのこと。つまりこのN-WGNを皮切りに、(それほど手間をかけずに)あらゆるホンダ車に順次展開が可能ということになる。こういう装備はじゃんじゃん普及してほしい。
なお今回のマイチェンによるN-WGNの(この機能追加以外の)変更点は、標準仕様の新色追加、「カスタム」のフロントグリル回りの意匠変更、特別仕様車「STYLE+ BITTER」の設定など、小規模なものに留まる。ほとんどこの新機能追加のためのマイチェンといってもいいくらい。
N-WGNは、スズキでいえばワゴンR、ダイハツでいうムーヴにあたる、「ハイトワゴン」モデル。N-BOXなどのスーパーハイトワゴンに比べるとやや影が薄くなってきた市場ではある。しかしこのジャンルは、室内空間と運動性能、使い勝手、価格のバランスがとれていて、根強い支持があり、N-WGNだけで毎月コンスタントに2500~4000台売れている(2022年1~8月の累計販売台数は28,664台で月販平均台数3,583台)。
こういう根強い支持のある手軽な軽自動車に、先進安全装備を自社で一番最初に装備させることが大事なのだなと、そういう姿勢が感じられたマイナーチェンジでありました。
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