新型アルファード/ヴェルファイアの注目点のひとつは、2台が異なるテイストを持ち、棲み分けを図ってきたこと。なかでもヴェルファイアは2.4Lターボエンジンを搭載し、運転が楽しいスポーツミニバンへと進化した。ここではエンジンに留まらないヴェルファイアとアルファードの違いについて、掘り下げてみよう。
文/ベストカーWeb編集部、写真/トヨタ、ベストカーWeb編集部
■とんがったユーザーの声を拾い上げたトヨタ
新型アルヴェルの魅力はいろいろあるが、動的性能で大きな進化を見せた点も見逃せない。
たとえば先代で指摘されることの多かった後席の乗り心地の悪さについては、Bピラー以降のボディ剛性を劇的に高めたほか、シートレールとクッションフレームの間に不快な振動を抑制する防振ゴムを挿入、さらにはロードノイズや風切り音対策まで徹底して、対策を図った。
「先代モデルを解析すると、Bピラー以降のボディが魚のように泳いでいた。新型はこの対策を徹底的に行い、走り出して3秒で気付く乗り心地のよさを実現した」とはチーフエンジニアの吉岡憲一氏の言葉だが、この言葉からも新型アルヴェルのレベルの高さを感じることができる。
こうしたモデル全体を通じた性能の底上げをベースに、ドライバーズカーとしての特性を研ぎ澄ませたのが、新型ヴェルファイアだ。
もともとヴェルファイアには走りを楽しむ尖がったユーザーが多かったが、トヨタはこの声に耳を澄ませ、ステアリングを握る楽しさをいっそう強めたモデルへと仕立て上げてきたのだ。
■どのグレードを選んでもパワフルなヴェルファイア
では具体的にヴェルファイアがアルファードと違う点を挙げてみよう。
まず最大の違いがエンジン。現時点でヴェルファイアにはアルファードが積む2.5L自然吸気エンジンはなく、2.4Lターボと2.5Lハイブリッドが積まれる。2.4Lターボですら279ps、2.5Lハイブリッドに至ってはエンジンとモーター合わせて300ps超のパワーを誇るのだから強烈だ。
ホイールが全グレード19インチとなる点も注目。ヴェルファイアのタイヤサイズはターボ、ハイブリッドともに225/55R19が標準となる。偏平率を下げたことでタイヤの応答性も向上するが、なによりヴェルファイアの尖がった個性に見合う外観を求めたという点が狙いだろう。
ちなみにアルファードは2.5LのNAが225/60R18、ハイブリッドは225/65R17。タイヤの外径を計算すると、ヴェルファイアがアルファードに比べて3~5mm大きいようだ。参考までに新型アルヴェルは、ホイールのPCD(ハブボルトを繋いだ円周の直径)が114.3mmから120mmへと変更されている。アルミホイールを流用しようとしている人は注意したい。
ハイパワーエンジンと大径タイヤを装着したとなると、当然ボディ側の対応も必要になる。そこでヴェルファイアは、フロントのラジエターコアサポート周辺にパフォーマンスブレースを追加して、前輪回りの剛性を高めてきた。
それだけじゃない。ダンパーとスプリングの設定値を変更し、より引き締まった乗り心地を手に入れるいっぽう、電動パワーステアリングの特性も見直し、ステアリングにボディが鋭く反応する、優れたレスポンスも獲得したようだ。
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