日本にもGT-Rなどの希少車がパトカーに採用されるケースが、ごくごく稀に存在しているが、海外はどうなのだろうか? 調べてみるとハワイではなんとも面白い制度が採られているようだ。その詳細をお届けしたい。
文:古賀貴司(自動車王国) 写真;ベストカー編集部
【画像ギャラリー】条件はやっぱ厳しめ!! まさか個人所有とは!! ハワイの警察車両を写真で(3枚)画像ギャラリー警察官の所有車をパトカーとして使う?
日本で「パトカー」といえば、白黒ツートンにカラーリングされ、赤色灯を備えた車両を思い浮かべるだろう。
そのほか、捜査車両や交通取締用車両ではいわゆる“覆面”パトカーが用いられる。パトカーは警察庁(警視庁ではない)や各都道府県の警察(地方公共団体)が各自の予算で購入している公用財産である。
ところ変わってアメリカ・ハワイ州では、日本人にはにわかに信じがたいパトカー制度が存在する。
要件を満たした警察官/車両であれば、なんと警察官のマイカーをパトカーとして使用することができるそうだ。
正確には「Subsidized Vehicle Program(補助車両プログラム)」と飛ばれる制度でホノルル警察署を中心に導入されており、警察官が私費で購入した車両を公務に使用する際に補助金を支給する仕組みだ。
当然ながら決まり事はかなり細かい様子
同制度は警察官のモチベーションならびにインセンティブとして作用することも見込まれている。ハワイの警察官の給与は、物価や生活費の高さに比して必ずしも高くない。
補助金制度は、車両の購入や維持にかかる費用の一部を補填することで、警察官の待遇改善の一環としても機能している。もちろん、警察車両導入コストの削減という一面も担っている。
基本的な条件は初年度登録から8年以内の車両で、その後は1年単位の延長申請が最大4回可能(最大12年まで)となっている。
所有者名義は警察官本人、家族、またはリース会社との共同名義で登録されていること。常に整備され、清潔で無事故・無改造、未修理の事故痕や過度な錆はNGなどの条件がある。
面白いNG条件としてサンルーフ/パノラミックルーフ(被疑者の逃走防止?)、スポーツカー・クーペ専用モデル(世間からのやっかみ回避?)、社外ホイール/サスペンション/マフラー/照明(パーソナルな印象を回避?)などが挙げられる。
理由は定かではないがディーゼルエンジン車、ハイブリッド車、電気自動車は原則NGとなっている。
ホイールベースは100インチ(約2.54メートル)以上が必要で、エンジンは4気筒以上、ガソリン車のみが対象となる。
福利厚生を兼ねた実に斬新なアイディア
興味深いことに、警察署で提供されるガソリンは89オクタンのレギュラー仕様のみという制限もある。
タイヤは標準サイズのみ認められ、タイヤ幅は最大10インチ、フェンダーからはみ出さないこと、という条件に加えて全輪同一サイズであることが求められる。
そして0-60mph(96km/h)加速が10秒以内の車両でなければならない。
条件を満たした車両は、専門部署が警察無線機器の取り付けや青色回転灯の設置を行い、個人での改造は禁止されている。
ハワイ警察では個人車両を警察車両として使用する警察官に対し、月額600ドル(約8.7万円)の補助金を支給しているという。
パトロール警官、巡査部長、交通取締部隊、制服着用の警部補が月額600ドル、その他の階級は月額562ドル(約8.1万円)を受け取る
ハワイ警察が公務関連の燃料費を全額負担し、警察官は指定されたガソリンスタンドで燃料補給が可能だそうだ。
公務で走行した距離10マイル(約16㎞)ごとに1ガロン(約4.5リッター)のガソリンも支給される。
また、個人使用分の燃料費は自己負担となるが、車両によっては公務で支給されたガソリンで事足りそうだ。
現在、ダッジ・チャージャー(GT、R/T、SXT)、フォード・エクスプローラー(ST、XLT)、トヨタ・カムリ(LE、SE、XLE:6気筒モデルはNG)、日産アルティマやマキシマ、ホンダ・パイロットなどが採用されているそうで、ハワイ警察では言及していないが、24時間365日対応義務が課せられるので減価償却もできそうだ。
コスト削減と福利厚生を兼ねたこの制度、なかなか面白い!
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