夜間の追突事故を防ぐカギは、いかに「早く気づいてもらえるか」だ。スタンレー電気が開発した“粒状面発光リアランプ”は、後続ドライバーの視認タイミングを従来より約2秒も早めるという大進化を実証。二輪・四輪の安全性を高めつつ、デザイン性と環境性能も両立する最新技術を詳しく紹介する。
文:ベストカーWeb編集部/画像:PRTimes
粒状面発光がもたらす“2秒の余裕”が事故リスクを大幅低減
夜間の追突事故や右折・合流時の接触事故は、ドライバーの“気づきの遅れ”が原因となることが多い。特に二輪車は車体が小さく、後続車から動きが判別しづらいことが事故リスクを高めている。そこでスタンレー電気が開発したのが、従来とは構造がまったく異なる「粒状面発光リアランプ」である。
このランプの最大の特徴は、光の見え方に“煌めき”を持たせ、ドライバーの視線変化に合わせて小さな輝点が動いて見える点だ。人間工学に基づく特殊カットを施したインナーレンズが、視認しやすい“動きのある光”を演出する。
同社の検証では、粒状面発光ランプを装着した先行車の動きに対し、後続ドライバーの認知が平均で約2秒早まるという結果が得られた。2秒と聞くと短く感じるが、時速60kmなら約33m分に相当する。急ブレーキ回避や追突防止に大きく寄与する数値だといえる。
革新的な構造 ― LED1つで広く均一に光らせる技術
従来のリアランプは多数のLEDを並べて光らせていたが、このランプは高光束LEDを1基のみ使用。それを独自設計の導光レンズ(ライトガイド)に通すことで、横長・縦長問わず均一な光を実現した。
さらに粒状の煌めきを作り出すレンズ加工により、デザイン性と視認性を両立している。部品点数の削減はコスト低減だけでなく環境負荷の低減にも寄与し、サステナブルな製品づくりに直結している点も見逃せない。
最大30mmの面発光に対応し、二輪・四輪のデザイン自由度が拡大
従来技術では10mmの高さが限界だったが、今回の新技術では最大30mmまで均一発光が可能に。これにより、細長い二輪車灯火からワイドな四輪テールランプまで、多様なデザインに対応できる。
ランプのデザインはクルマの印象を決定づける要素のひとつ。今後は“光の表情”を活かした新しいモデルが登場する可能性も高い。
すでに量産車採用、室内照明などへの応用も
同技術はすでに量産車に採用されている。さらに今後は安全性のさらなる向上を目指し、四輪メーカーへの提案を強化していく予定だという。また、自動車のインテリア照明など新たな車載用途への展開も進めており、「光」に強みを持つスタンレー電気らしい拡張性が見て取れる。
最新のランプは単なる“光る部品”ではない。安全性、デザイン性、環境性能を兼ね備え、クルマの価値そのものを引き上げる技術へと進化している。今後の採用拡大に期待したい。








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