【大改良効果で三菱No.1の売れ行きに!?】“ディーゼル専売”新生デリカD:5はなぜ人気なのか

■ライバルを一線を画したことで得た安定のポジション

 デリカD:5が堅調に売れる理由を販売店に尋ねると、以下のような返答が得られた。

「デリカD:5はSUVの悪路走破力を備えたミニバンで、ほかに類似車種がない。従ってライバル車との競争もほとんど発生せず、安定して売れている。個性的な高価格車とあって中古車を求めるお客様も多く、中古車価格が高まり、高値で下取りされる。

そのために、従来型デリカD:5から、改良を受けた現行型に乗り替えるお客様も増えた。このような事情から、デリカD:5は発売から10年以上を経過しながら、売れ行きがあまり下がらない」

と説明した。

ミニバンのなかでは圧倒的人気を誇るアルファードだが、デリカD:5はこのラグジュアリー路線とは一線を画したことが功を奏した

 デリカD:5が安定的に売れる背景には、悪路走破力以外にも複数の魅力がある。まず全長が4800mm以下のミドルサイズミニバンでは、3列目シートが最も快適なことだ。身長170cmの大人6名が乗車した時、2列目に座る乗員の膝先空間が握りコブシ2つ分になるようスライド位置を調節すると、3列目の膝先空間は握りコブシ2つ分以上だ。各シートともに足元空間が広い。

 しかも3列目のサイズにも余裕を持たせ、座面の奥行寸法は470mmと長いから、ヴォクシー系3姉妹車の3列目を約40mm上まわる。床と座面の間隔も適度だから腰が落ち込まず、多人数で長距離を快適に移動できる。

 車内が広いために、3列目を左右に跳ね上げると広い荷室になって自転車なども積みやすい。「大勢乗せてたくさん積む」ミニバンの機能が優れている。

 ミニバンでは数少ないクリーンディーゼルターボを搭載することも特徴だ。「グランエース」を除いたミドルサイズミニバンに限れば、デリカD:5のみになる。最高出力は145ps(3500rpm)、最大トルクは38.7kgm(2000rpm)だから、3.5Lのガソリンエンジンに匹敵する最大トルクを実用回転域で発生させる。デリカD:5は車両重量が1900kgを超えるので、実用域の駆動力が高いディーゼルとは相性もいい。

 WLTCモード燃費は12.6km/L、JC08モード燃費は13.6km/Lだ。ディーゼルが使う軽油の価格は、レギュラーガソリンに比べて1L当たり約20円安いため、燃料代はセレナやヴォクシー系3姉妹車の2Lガソリンエンジン搭載車と同等に収まる。

新型のディーゼルエンジンはとにかくパワフルだ。旧型が苦労するような悪路や急こう配でも、進化した4WD制御と、トルクフルなエンジンのおかげで、何の心配もなく走破することができる。ミニバンでここまで高い走行性能を持つのはデリカD:5だけだ

■ディーゼル販売比率が90%! さらなる進化を期待

 先に述べたとおり、今後のデリカD:5のグレード構成は、ガソリンが廃止されてクリーンディーゼルターボと4WDの組み合わせのみになる。

 もともとデリカはスターワゴンの時代からディーゼルの販売比率が高く、一時はガソリンのみになったが、2013年初頭にディーゼルが復活すると再び人気を高めた。このディーゼルは、従来型デリカD:5から乗り替える人達の間でも人気が高く、近年ではディーゼルの販売比率が約90%に達していた。

 そこで2019年2月に、デリカD:5はディーゼル搭載車のみに大幅なマイナーチェンジを実施したわけだ。フロントマスクの形状は、今の新しい三菱を表現するダイナミックシールドで、インパネの形状と質感、走行安定性、乗り心地、静粛性まで幅広く向上させた。衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールといった運転支援機能も採用されている。

 この時のマイナーチェンジは、フロントマスクの刷新もあって、フルモデルチェンジに匹敵する進化となった。注目度も高まり、2019年は好調に売れて、登録台数は前年の1.5倍に達した。この勢いが今も続いている。

 SUVは先に述べたとおり、いろいろなカテゴリーに設定できることが特徴だ。そのSUVの可能性を長年にわたって追求してきたのが、デリカの4WDシリーズになる。パジェロが国内生産を終えた今、デリカD:5は、三菱の中心に位置する車種となっている。今後のさらなる進化に期待したい。

【画像ギャラリー】歴代デリカと販売好調の現行型デリカD:5の詳細を一挙紹介!!

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