2021年2月上旬、中国初の国営自動車メーカー「第一汽車集団」の高級ブランド「紅旗」のラグジュアリーセダン「H9」が日本上陸!? との報が駆け巡った。
そこから2ヶ月あまり経った現在、様々な情勢が状況の進展を許さないのか、当時「間もなく」とされた正式発表の報は未だ聞こえてこない。
ここでは、自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子氏による、紅旗H9のレポートをご紹介したい。
※本稿は2021年3月のものです
文/加藤久美子 写真/加藤ヒロト(中国車研究家)
初出:『ベストカー』 2021年4月10日号
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■紅旗(HONGQI ホンチー)とはどんなブランド?
紅旗(HONGQI、ホンチー)は中国初の国営自動車メーカー、第一汽車が展開する高級車ブランドだ。
60年以上の長い歴史を持っており、中国における自動車の歴史とともに発展してきた。このたび日本上陸を果たした「H9」は昨年8月に発売されたシリーズ最新にして最上級のモデルとなる。
現代の紅旗には大きくわけて「Lシリーズ」と「Hシリーズ」がある。
Lシリーズは紅旗伝統の重厚で歴史の重みを感じさせるデザインが特徴。
ホイールベースの違いによってL5、L7、L9の3モデルが用意されており、全車にV12、6Lエンジンを搭載している。
このうち一般人が購入できるのはL5のみ。
最上級のL9は2009年に胡錦濤前中国国家主席が乗る閲兵車として初公開された。
■なぜ? これまで純中国車が日本で一般登録されることがなかった?
2月上旬に日本に上陸した紅旗H9は現在、日本の保安基準に適合させて一般のナンバーを取得するためさまざまなテストや手続きを行っている。
これまでも純中国製のクルマが大使館などの公用車として日本で使用されてきた例はあった。青いナンバープレート、いわゆる「外ナンバー車」だ。
外ナンバーは管轄が外務省となるため、車検(保安基準)や自賠責保険も無関係で販売証明書と任意保険の証書があれば発行される(これまで一度も日本に入ってきていない車種の場合は別途、審査あり)。
一般登録ナンバーを取得するには諸々の規則が関わってくる。
中国は「58協定」(1958年に締結された国連欧州経済委員会〈ECE〉の多国間協定「車両等の型式認定相互承認協定」。日本は1998年に加盟)の締結国ではないため、純中国メーカーが製造する車両は日本ではナンバーを取得しない研究用やテスト用、展示用にかぎられていた。
が、それも自動車メーカーの全面バックアップがあれば事情は変わってくる。
実際、日本に輸入された紅旗H9は中国第一汽車が認めた正規輸入車という形を取るため、日本での登録も可能となる。
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