北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。
第37回は、日本最速の哺乳類・エゾユキウサギの赤ちゃんのです。
警戒心が強く、親ウサギでも近づくのが難しいエゾユキウサギ。これほど小さな子ウサギの画像はとても珍しいんですよ。
写真・文/佐藤圭
【画像ギャラリー】忍者のように隠れる子ウサギと親ウサギの巨大脚!
ただじっと動かないのが最大の防御法
今年の夏、オリンピック期間中は、北海道もこれまで経験がないほどの猛暑に襲われました。
僕の地元、道北の留萌も例外ではなく、うだるような暑さが続くなか、撮影に出かけた草原で、生まれて間もないエゾユキウサギの子に出会いました。
大きさは手のひらにすっぽり収まるサイズです。長年、エゾユキウサギを撮影していますが、ここまで小さい子ウサギを見つけたのは初めてです。
エゾユキウサギは、日本に棲む哺乳類では最速で、そのスピードを支えるバカでかい後脚をもっています。
体自体も日本の野生種のウサギでは最大ですが、生まれたての子ウサギはこんなに小さいのかと驚きました。
エゾユキウサギは春と夏に出産しますが、この子は夏の子です。春と夏の子で違いは特にありません。
探し方は、親ウサギのテリトリーを把握し、その周辺の草むらを、ただただ歩き続けます。
虫の大群に襲われたり、突然ヘビに遭遇したりして、心が折られそうになることもあります。
数時間歩き回って、やっと、小さな小さな草原のアイドルに出会うことができました。まるでぬいぐるみのようなかわいらしさです。
この日は、2匹が近くにいましたよ。エゾユキウサギは、通常2〜4匹の子を産むようです。
エゾユキウサギの子を発見したときに注意しなければならないことがあります。
子ウサギにとって、動かないことが身を守るためのもっと有効な方法です。天敵に見つからないように、1日中、同じ場所でじっとしているのです。
子ウサギが地面でじっとしていると、見つけるのは至難の業です。キツネも真横を素通りしてしまうほどの擬態なのです。
夜中にお母さんが授乳にきます。親は、子供が見つからないように、わざと離れて過ごしているんです。
だから、もし見つけても、驚かしたり、迷子になったのかな?と連れて帰ったりしないでくださいね。
驚かしてしまって、子ウサギが走り出すと、すぐに天敵のタカやキツネ、ヘビなどに見つかってしまいます。見つかると、俊足という武器をまだ使えない子ウサギはひとたまりもありません。
エゾユキウサギは成長が早く、秋には親離れして単独で生きていきます。無事成長して、冬毛の真っ白な姿になった姿を見せてくれるのを楽しみにしています♪
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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