「視閲式」と聞いてもピンとこない人もいるかもしれないが、ごく簡単にいえば、年頭にあたっての出動訓練(出動式)のことだ。各都道府県警では、毎年1月上旬~中旬ごろに「視閲式」と呼ばれる式典を行っている。
多数のパトカーや部隊が集結し、警察本部長やその自治体の知事らの巡閲や訓示などを受ける式典で、マニアにとっては堂々と撮影やウォッチが可能なとても嬉しいイベントなのだ。
しかしながら、昨年、今年と新型コロナウイルスの影響で実施しない県警が多い。警視庁も、昨年は実施を見送ったが、今年は2022年1月7日(予備日11日)に実施される予定となった。そこで本記事では、警視庁視閲式の見どころや全体の流れなどをガイドしたい。
なお、さまざまなパトカーについては『平成~令和新時代 パトカー30年史』も参照いただきたい。
文・写真/外江彩
【画像ギャラリー】警視庁視閲式の見どころを写真で一気チェック!(9枚)画像ギャラリー■警視庁視閲式の規模は日本一!
正式名称は「警視庁年頭部隊出動訓練」であるが、他県では「視閲式」と呼ばれることが多いので、マニアの間では「視閲式」と呼ばれる事が多い。
都内全域から各部隊、車両が集結し、警視総監による巡閲(整列した部隊を見回って検閲すること)と各部隊の行進、警視総監による訓示を受ける。ちなみに、コロナ禍前の令和2年度では、約1850人の警察官と135台の警察車両のほか、警察犬14頭、騎馬8騎、ヘリコプター4機が参加している。まさに日本一の規模である。ただし、今年の式典は、規模を縮小しての実施となるだろう。
場所は、神宮外苑の絵画館前広場および円周道路である。絵画館前に観閲台(警視総監が訓示などを行うための台)が設置され、円周道路に各部隊が整列する。このため、円周道路は朝5時50分から9時まで通行止めとなる。クルマで行かれる諸氏は留意されたい。
■夜明け前に予行、そのあと本番実施
交通規制の時刻からわかるように、警視庁視閲式の準備開始は早い。
まだ夜も明けぬ5時頃から部隊・車両が順次集結しはじめる。また、機動隊などの徒歩部隊は、絵画館前で行進の練習を行う。
5時50分からの交通規制が始まると、車両の整列が行われる。各車両が円周道路の内側を向くように並び、精密に間隔や位置が調整される。整列作業は見どころのひとつだ。なお、7時を過ぎたあたりから、十分な明るさとなり、写真撮影もしやすくなる。
式典は、7時20分頃より行われる(※開始時刻は前後する場合がある)。まず、警視総監が会場に到着。その後、オープンカーに乗って円周道路を一周し、整列している各部隊の巡閲を行う。
巡閲の後は、各部隊による分列行進を実施。絵画館前をステージに東から西に向かって行進する。行進の順番は、円周道路に並んでいる順で、まず機動隊を中心とした徒歩部隊、警察犬、交通機動隊(騎馬隊を含む)、自動車警ら隊、公安機動捜査隊、機動捜査隊、警護車、特殊車両(騒音測定車や特型遊撃車、救助工作車など)、ヘリコプター(上空通過)である。参加する部隊は年によって多少異なるが、おおよその流れは例年同じである。
徒歩部隊は、行進の後、円周道路を右折して北側で待機する。車両部隊は、行進の後はそのまま帰路につく。
行進の後、徒歩部隊は、絵画館前広場に整列し、警視総監からの訓示を受ける。その後、警視総監が退場し、式典は終了となる。
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