ボンネットバスが期間限定で復活した。三重交通で路線バス(後年は定期観光バス)として運行されていた「いすゞBXD30」ボンネットバス(1966・昭和41年式)で、車掌乗務時代の一般的な構造による典型的なボンネットバスだ。川崎航空機工業が車体を架装し、最後期のボンネットバスのムードをよく残している。整理券をゲットして乗ってきたのでレポートする。画像ギャラリーには快走するボンネットバスの勇壮写真を大量収録したので、合わせてご覧いただきたい。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
早朝から整理券の列!
伊勢市内を懐かしいボンネットバスが走行するイベントが開催された。筆者も乗車したことのないバスであり、この機会にと思い伊勢市へ向かった。当日の様子をレポートする。
2022年11月12日土曜日のJR伊勢市駅。まだ朝の冷え込みが残る午前7時に到着した。バスの乗車にはまだ時間があるのだが、その乗車に必要な乗車整理券をもらうため少し早めに向かったわけである。筆者が到着した時点でバス停には既に4人が待っていた。先頭の人は6時から待っていたというから、この時を待ち望んでいたファンもいたのかと実感する。
それもそのはずで、今回乗車するボンネットバスは当地を本当に走っていたバスだからである。昭和59年まで三重交通伊勢営業所に所属していたボンネットバスで、実に38年ぶりの里帰りとなるわけである。
集まった人の中には昔路線バス時代に乗ったことがあったという方や、夫がこのバスを運転していたという方もいて出発前からとても賑わっていた。バスの履歴については後述する。
式典の後にいよいよ出発!
9時30分からの出発を前に出発式が行われ、伊勢市長とボンネットバスを所有しているNPOバス保存会の理事長、当時所有していた三重交通の3者が挨拶を行った。
公共交通機関としてのバスに関心を持ってもらい、また昔この地を走っていたバスに乗って車窓から見える伊勢の風景を楽しみながら思いを馳せてほしいということであった。
その後は今回のためにわざわざ設置されたバス停前にバスを移動させて、いよいよ乗客が乗り込んでいく。もちろん筆者もこの1便の整理券をもらうことができたので同時に乗車した。
車内は昔懐かしい感じがあるものの、きちんと整備されているので傷みや古臭さを感じることはない。座席は乗車扉から前方はロングシートが、後方は進行方向に 向いたベンチシートが配置されている。