トラックの荷台は白やシルバーの単色で、何のイラストも描かれていないのが普通だが、こうしたトラックの荷台を「広告媒体」として活用する取り組みが始まっている。
派手なイラストをプリントし大音量を流しながら空荷で走る広告宣伝車(いわゆるアドトラック)などと異なり、荷物を運んでいるトラックの荷台を看板として活用するのがポイントで、企業のイメージアップなどにも効果がありそう。一体どんな取り組みなのか?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/三菱ふそうトラック・バス、キネクト
三菱ふそうバス製造の「ボディプリント事業」
三菱ふそうトラック・バスは11月21日、100%子会社のバス製造会社、三菱ふそうバス製造が、新事業として「ボディプリント事業」と「バスリニューアル事業」を開始したと発表した。
ボディプリント事業は、三菱ふそうバス製造が、車両メーカーを問わず、トラック、バス、およびその他の車両を対象に提供するもの。
同事業の開始にあたって導入した「オートボディプリンター」は、インクジェットプリンターの原理でボディに画像データを直接プリントするもので、凸凹や湾曲のある素材へのダイレクトプリントが可能。
一般的なマーキングフィルムを貼り付ける従来のフィルムラッピングと比べ、低コストかつ短納期での仕上がりが可能で、コストも従来の4〜5割低減し、納期もおよそ1/3短縮できるという。また、特殊溶液を用いることで何度でも塗り替えが可能となっている。
ボディプリント事業は、三菱ふそうバス製造が生産の効率化を図るべく行なってきた様々な作業の自動化の検討の中で、従来は職人の手作業で行なっていたボディラッピングのフィルム張り付け作業の自動化を図るため開始したもの。コストや納期は三菱ふそうバス製造の試算で、プリントの面積や内容等によって変動する可能性がある。
一方、バスリニューアル事業は、バス製造の経験豊かな専門スタッフが、長年愛用されたバスの内外装を新車のように生まれ変わらせるもの。ボディの再塗装、窓ガラスの交換、シート生地張替え、床材張替え、各種機器交換といった様々な要望に応える。
キネクトの「SIGN & TRUCK」
キネクト(東京都渋谷区)は12月7日、街を走る輸送用トラックの荷台を広告媒体として活用する新しい宣伝/告知サービス「SIGN & TRUCK(サイントラック)」を、12月15日より開始すると発表した。コンセプトは「街を走る広告 生活空間に、新しいアイキャッチを」。
これまで輸送用トラックの荷台を広告に活用した例は少ないが、自動車を利用した広告の効果についてはアドトラックやラッピングバスで実証されており、高い認知率と広告効果が見込めるという。
アドトラックと異なり、荷物を運ぶ輸送用トラックの荷台を広告媒体に使うので、広告費用を抑えることが可能。また、無意味な交通渋滞や排気ガス、騒音が発生しないのも特徴で、単なる商品/サービスの認知度アップとしてだけではなく、ブランドイメージ向上にも役立てることができる。
現時点のパートナー企業は関東エリアが中心で、走行エリアは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の1都5県。契約はトラック2台からで、1カ月あたりの料金は広告のサイズ、エリア、期間にもよるが6万円から(制作費、施工費は別途)。期間は最短3カ月からで、1年単位のプランも用意される。
なお、サイントラックはキネクト独自の広告掲出規定があり、広告として掲出できるのは車両を管轄する行政機関の許可を得た上で、キネクトが不特定多数が見る広告としてふさわしいコンテンツと判断したものに限られる。
【画像ギャラリー】運送会社にもメリットがあるかも? トラックの荷台を広告媒体として活用する2つの取り組みの詳細をチェック!!(5枚)画像ギャラリー