高齢化社会の中でシニアカーは重要なモビリティとしてのニーズがますます高まりそうだ。
そんな中、スズキがシニアカーの新しいコンセプトモデル「UTコンセプト」を発表した。
■そもそもシニアカーとは?
読んで字のごとく高齢者が自分で運転できる電動車イスのことで、安定性の高さがウリの4輪タイプからお手軽な2輪タイプまでラインアップされている。シニアカーは福祉用具として扱われるため、購入時の消費税が非課税となるほか、介護保険の適用が認められている車両だ。足腰が弱まった高齢者が買い物などに外出する際のパートナーとして注目されている。
ちなみに道交法上では「歩行者」としての扱いになり、車道ではなく歩道での走行が基本となる。
車体の大きさは全長1200×全幅700×全高1090mm以内で、原動機には電動機を使用し、最高速度6km/hを超えないことが基準として定められている。
もともとはスズキが’85年、当時高齢者の間でブームになっていたゲートボールのコートまでの移動用に発売した電動三輪車「スズキセニアカーET10型(※)」が最初で、運転免許が不要なことからシニア世代に普及してきていた。
※スズキではシニアカーを”セニアカー”と表記する。
■シニアカーらしくないUTコンセプト
このUTコンセプトは2014年10月に東京ビッグサイトで開催された「第41回 国際福祉機器展H.C.R.2014」で参考出品されたもの。「都市生活での移動に便利な電動車イス」をコンセプトにしている。
特徴は、これまでのシニアカーとは一線を画したスタイリッシュなフォルムを採用したスタイリングにある。シニアカーといえば車輪の前方足元に構造物があるのが普通だが、視認性を向上させるのを目的にしたUTコンセプトにはそれがまったくないのだ。
UTコンセプトのシニアカーらしくないこのスタイリングが実現したのにはある役員の発言が発端になったという。
スズキによると、
「すでに販売されている自社製品のセニアカーを見た役員が『自分が年をとって乗ることになったとしても、こんな恰好悪いデザインの乗り物には乗りたくない』と漏らしたことが開発のきっかけになりました。10近く残ったデザイン最終案のなかでも最も思い切ったデザインを採用したものがこれでした」とのこと。
狙い通り、都市部での歩道環境に適したコンパクト性と小回り性を実現しており、障害物や段差を回避するための先進予防技術が盛り込まれている。バッテリーは着脱式にして利便性を向上させたほか、操作については操舵レバー式を採用。右手元にはスマートフォンタイプのパネルを設置し、後方をカメラで確認できるようになっている。
スズキではUTコンセプトの市販については「未定です」としているが、こんな未来的でスタイリッシュなシニアカーならば乗ってもいいと思っているクルマ好きが多いとみた。
スズキにはぜひとも近い将来の市販化を熱望しておきたい!
コメント
コメントの使い方