シエンタも6割弱がガソリン車
3列シートのミニバンだから、フィットに比べると燃費は悪いが、ガソリンエンジンとの差は付きにくい。
「G」の7人乗り同士で価格を比べると、ガソリンエンジン車が202万680円、ハイブリッドは238万320円だ。ハイブリッドが約36万円高い。
そしてJC08モード燃費は、ハイブリッドが28.8km/L、ノーマルエンジンは20.2km/Lだ。ハイブリッドの数値は、ノーマルエンジンの約1.4倍に収まる。
こうなると実用燃費をJC08モードの85%、レギュラーガソリン価格を1L当たり145円で計算した場合、36万円の価格差を燃料代の差額で取り戻すには20万kmの走行を要する。
HVは走りが滑らかで、3年後くらいに売却する時は高値になるメリットもあるが、単純な損得勘定では割高だ。
そしてシエンタハイブリッドの価格は、ガソリンエンジンを搭載するヴォクシー「X」(250万9920円)並みに高いから、コンパクトミニバンでは割高感が生じてしまう。そうなると多くのユーザーは、ガソリンエンジン車を選ぶ。
エクストレイルは7割以上がガソリン車
エクストレイルのハイブリッドがあまり売れないのは、幅広い機能にわたって魅力が乏しいからだ。
まず燃費が挙げられる。JC08モード燃費はガソリンエンジンを搭載する4WD「20Xi」が15.6km/Lで、HVの同グレードは20km/Lだ。HVはガソリンエンジンの1.3倍程度にとどまる。実用燃費もあまり良くない。
価格はマイナーチェンジを受けた時に、HVの不人気を改善すべく少し割安に抑えたが、それでも「20Xi」同士の比較で約27万円の価格差がある。
そしてアルミホイールのサイズは、ガソリンエンジン車は18インチだが、ハイブリッドは小さくなって17インチだ。この違いも含めると、価格差が実質29万円に拡大する。
29万円の価格差を燃料代の差額で取り戻せるのは、シエンタと同じ計算方法で、8万kmを走った頃だ。以前の価格が割高だった頃に比べると短いが、それでもエクストレイルハイブリッドの人気は回復しない。
また、エクストレイルは防水加工された荷室が魅力だが、この機能がHVには用意されない。ハイブリッドの荷室は、一般的なカーペット敷きだ。
この理由を開発者に尋ねると「荷室の床下にはHVの駆動用リチウムイオン電池電池が収まるから、濡れたものは置けないようにカーペット敷きにした」という。
この返答には驚き「ならばHVの荷室に大量の水をこぼしたら、リチウムイオン電池に漏電などの問題が生じるのか」と尋ねると「その心配はまったくないが、電池を収めているのは事実だから」とコメントした。
要は考え方とか一種の作法として「電池の上は濡らすべきではない」ということらしい。それは分かるが、防水シート生地と防水フロア(これはハイブリッドにも備わる)に加えて、防水ラゲッジボードが装着されることはエクストレイルの特徴だ。
アウトドアのツールとして使えるエクストレイルのコンセプトを示すアイコンでもある。これを省くあたりに、エクストレイルハイブリッドの曖昧さがあり、売れない理由にもなっているだろう。
(※各車の販売台数は2018年の年間販売台数/データ:自動車販売協会連合会、トヨタ、ホンダ、日産)
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