静岡県裾野市にあるウーブン・シティのフェーズ1が完成し、2月22日に竣工式が行われ、施設の一部がメディアにも公開された。豊田章男会長が「この場所を未来のモビリティづくりに貢献する聖地にしたい」と語るその中身をレポートしよう
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ
【画像ギャラリー】トヨタ社員から入居開始へ!! モビリティとの生活が大きく変わる最新都市を見よ(6枚)画像ギャラリー延べ620日、340万時間、42万4000人をかけて竣工
2020年に豊田章男社長(当時)が構想を発表してから5年余り、ウーブン・シティのフェーズ1が昨年10月に完成し、2025年2月22日に竣工式が行われた。
延べ620日、340万時間、42万4000人をかけた大プロジェクトであり、前例がないこともあり工事を行った大林組からは「こんなに難しい工事は初めてだ」と苦笑いされたというエピソードもあるほどだ。
ウーブン・シティは(Woven City)にさまざまな価値を織り込んでいくという思いが込められている。豊田佐吉が創業した豊田自動織機をルーツに持つトヨタ自動車ならではのネーミングともいえる。ウーブン・シティはヒト、モビリティ、インフラの3つを三位一体で考える「モビリティのテストコース」であり、社会課題の解決策を生み出す実証の街でもある。
今回公開された「Kakezan Invention Hub(掛け算・インベンション・ハブ」は外壁が一面ガラスとなっていて、屋根は富士山の尾根を思わせるスロープ状になっている印象的な建物だ。中に入ると採光性に優れ、木を使った落ち着いた空間となっている。
その名の通り「掛け算による発明」を生み出す場所で、自動車産業以外の業界の強みを「掛け算」し、新しい価値やプロダクト、そしてサービスの創出が期待される。
ウーブン・シティにはインベンターズ(新しい技術やプロダクトを発明する人たち)と住民やビジターであり、その技術やプロダクトを体験し、意見や感想を述べるウィ―バーズ(編み手)で構成される。
「Kakezan Invention Hub」はインベンターズが発明したプロダクトが展示されウィーバーズと意見を交わす場所であり、プロダクトはあくまでも試作や仮説に基づいたもので、意見交換によって開発が加速することを狙っている。
今回は物流の実証の場として活用される地下の「街」も公開された。
地上には「歩行者専用の道」、「歩行者とパーソナルモビリティが共存する道」、「自動運転モビリティ専用の道」があり、4本目がその地下にある「物流の道」だ。 地下に道を作ることで、天候など環境に影響されずに自動搬送機能などの実証が可能になる。
物流の実証を行うにあたり、ウーブン・シティの大きな特徴であり、「しくみ」の1つであるデジタルツイン技術を活用していく。デジタルツインとは、収集したデータなどを元に現実世界をデジタル上で再現する技術のこと。
デジタルの世界でシミュレーションしたことをリアルの世界に反映し、そのフィードバックをデジタルの世界に落とし込み、精度を向上させていく。デジタルツイン技術によって、未来の物流のあり方を考えていこうというのだ。
インベンターズとウィーバーズが集うところが広場のようなコートヤード。コートヤードではインベンターズがプラットフォームとしてのe-Paletteを使い、カフェとしてコーヒーや軽食を提供し、ウィーバーズがフィードバックを提供するといったことが想定されている。
なお一般の方はワンデイウィーバーとして2026年度から訪問が可能になる。
未来のモビリティづくりに貢献する聖地にしたい
竣工式に出席した豊田章男会長はこう語った。
「かつてここにはトヨタ自動車東日本の東富士工場がありました。その閉鎖を決断した2018年、私は工場で働く仲間たちと直接対話をしました。さまざまな事情で一緒に働くことができなくなる仲間たちへの想い、この地でクルマを作り続けてきた誇り、地域の方々への感謝、ひとりひとりがその胸の内を語ってくれました。その顔を見て、その想いに触れて、私は『この場所を未来のモビリティづくりに貢献する聖地にしたい』、そう心に誓いました。
ウーブン・シティは更地の上にできたのではありません。半世紀に渡り、自動車産業のために働き続けた仲間の想いの上にできる街です。私の言葉で言うならば『クルマ屋たちの夢のあと』です。
あれから7年。私の想いは多くの人たちの手によって、現実のものになろうとしています(中略)。
ウーブン・シティは進化し続ける『永遠に未完成の街』であり、『未来のモビリティのテストコース』です。この場所から『ウーブン・シティがあってよかった』、みんながそう思えるような、未来のモビリティが生まれることを期待しております」
豊田章男会長は、「ウーブン・シティはコラボレーションがすべて。どんな商品やサービスが生まれてくるかワクワクしています」と語る。トヨタとさまざまな企業がコラボする実証が今秋からスタートする。
「日本でもこんなことができることを見せたかった!」。豊田章男会長の「こんなこと」とはウーブン・シティだけではなく、そこから生まれてくるものでもあるはず。いったいどんなものなのか? そう思うとウーブン・シティは、この先ずっとワクワクさせてくれるはずだ!











コメント
コメントの使い方既に地元の経済効果は凄いでしょうね。利益が全国へ循環することを期待します。
章男氏は、国民の利益になる事を報道しないマスコミ、国を支える企業と従業員の足引っ張る国、を嘆く会見した後
それらに期待せず、自前で全てやる。を選択しました。これもその一環ですね。
もうトヨタの新世代管理職たちは、邪魔してくる声なんて見向きもせず、ひたすらに移動したい全員の幸福を求め、それが会社の利益になると信じ切ってる。
現行の街と特に変わった様子はなく、感動しない。
普通に道路があり、横断歩道がある。
これ変えなきゃ、トヨタがトヨタのまま。
自転車や電動カートみたいなやつが自由に行きかう街こそ未来的。
自動車は、外周のみを走る。
自動運転の最終形は、個人で自動車を持たないこと。
どんなに未来の都市でも道路や横断歩道はあるのでは?そもそもWoven Cityが目指しているのは現実世界からあまりに乖離した遊園地みたいなものではなく、車同士の協調制御や配送ロボットによる物品の自動配達のように先進的だけど比較的現実的な技術たちをリアルなシナリオでテストできる場を提供することなんだと思います。