新型インプレッサの強みと弱み 2016年の“イヤーカー”を三本和彦が斬る

新型インプレッサの強みと弱み 2016年の“イヤーカー”を三本和彦が斬る

 新型インプレッサは、プラットフォームを一新し、大きく進化。2016年のカー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど評価は上々だ。そんなインプレッサに死角はないのか? 御大三本氏が良い面、悪い面どちらもハッキリ評価します。

 ベストカー2017年1月26日号


世界で戦えるクォリティを持つインプレッサ

2016年末、2Lモデルを試乗。作りのよさには目を見張るねぇ。でももっと“新しい提案”があってもよかった。スバルはそれができるメーカーなんだから
 
2016年末、2Lモデルを試乗。作りのよさには目を見張るねぇ。でももっと“新しい提案”があってもよかった。スバルはそれができるメーカーなんだから  

 日本カー・オブ・ザ・イヤーのイヤーカーがインプレッサに決まりましたね。物事を斜め読みするというか、ボクの天の邪鬼な性格がしゃしゃり出てきたので、改めてインプレッサに乗ってみましたよ。

 ヘッドライトから始まって、ドアとフェンダーのチリ、ドアの開け閉め、リア回りを一気に見て感じたのは、素直に“いいクルマだなあ”ということ。

 ひと言でいうと、作りがいいんだよ。ジャパンメイドだよね、このクルマ。

 インパネのデザインや質感はやっと世界で戦うクォリティになったかな。でも、デザインに新しさがない。外観と違って内装は運転している間、ずっと見続けなきゃいけない。

 そういう意味では、ハンドルは、もっとしっとりとした本革を使うべきだし、メーター回り、エアコンスイッチなどはもっと新しさ、斬新さを感じさせてほしかった。ただ、斬新すぎると長く乗ると飽きちゃうからほどほどの斬新さね。

 室内の広さは想像以上でした。乗り降りはしやすいし、後席、トランクはビックリするほど広い。シートの素材は改良の余地ありかな。柔らかくて長距離運転では疲れそうな気がします。

物足りないのはパワートレーン

 実際に運転してみると、まず感じるのは、視界が広くて運転しやすいし、何よりも乗り心地が上質なこと。

 「あれ? これスバル車だよな」

 と思わず口走ってしまいましたよ。

 以前試乗したプリウスもいいクルマでしたが、インプレッサのほうが進化の伸びしろが大きかったですね。

 でも、喝を入れたいのはNAの2LエンジンとCVTが物足りなかったこと。

 なんとか、なりませんかね、スバルさん。

 三本和彦

 1931年生まれ、東京都出身。東京写真大学(現在の東京工芸大学)写真技術科を卒業後、1956年より東京新聞に入社。

 その後フリーのモータージャーナリストに転身し、ベストカーを始めとするさまざまな自動車雑誌に寄稿、TV番組の司会なども務めた。現在はベストカーで月に1度「金口木舌」の連載を執筆している。

 ★【金口木舌(きんこうぼくぜつ)】とは…古代中国で官吏が法律などを民衆に示す際に木鐸(ぼくたく。口が金属、舌が木製の鈴)を鳴らしたことから、優れた言論で社会の教えを導く人の例えという意味

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