2023年2月13日(火)15:00~、トヨタ自動車の次期社長である佐藤恒治Chief Branding Officerが、都内で会見を開いた。佐藤氏は今年4月1日よりトヨタの社長に就任するにあたり、トヨタの新たな執行部とともに、自身の方針や重要施策を公表した。
文/ベストカーWeb編集部、写真/TOYOTA、ベストカーWeb編集部
■「クルマを作り続ける社長でありたい」
2023年4月から新たにトヨタ自動車の社長(「代表取締役」が付くのは同年6月の株主総会を経てから)に就任する佐藤恒治氏が、都内で新体制発表会見を実施した。会見にあたり、佐藤新社長は以下のように発言。
「新体制のテーマは“継承と進化”です。豊田章男社長が進めてきた地域主体のクルマづくりを継承すべく、チームで経営を進めてまいります」。
新体制人事を見ると、目玉は副社長人事といえる。
新たに副社長へ就任するのは、Mid-size Vehicle Companyのプレジデント(部門責任者)を務めていた中嶋裕樹氏と、事業・販売およびChief Competitive Officerのプレジデントを務めていた宮崎洋一氏。
これまで副社長として豊田章男体制を支えていた3名の副社長は、佐藤新社長が掲げる「3つの重点戦略」を担うべく、それぞれの部門の本部長に就任する。
近健太氏→【ウーブン】担当/ウーブン・バイ・トヨタ(株)※専任のChief Financial Officerとして、Arene開発やWoven Cityなどの取り組みを加速
前田昌彦氏→【アジア戦略】担当/アジア本部長として、カーボンニュートラルやCASE技術の社会実装プロジェクトをリードし、新たなアジア地域戦略を推進
桑田正規氏→【電動化】担当/Chief Project Leaderとして、レクサスの「2035年 BEV100%化」に向けた事業戦略をリード。トヨタ自動車九州(株)の取締役副社長も務め、BEVを軸にした九州の生産体制再構築を推進
会見では記者から「豊田章男社長の13年間の体制はどういうものだったか、新体制のクルマ作りは具体的にそこからどう変わるのか」という質問が飛ぶと、佐藤新社長は以下のように回答。
「豊田社長は本当にクルマが大好きで、まさに”カーガイ”として、トヨタのマスタードライバーとして”いいクルマを作ろう”ということでトヨタを引っ張ってこられた方です。わたしはエンジニアとして、それをずっとそばで見ていて、わたしなりに”いいクルマ”とはなんだろうと考えて、それはやはりクルマとしての基本、基盤がしっかりしていることだと考えています。制御や補機でごまかせてしまうところをごまかさず、基本的なところをしっかり作る。それがわたしたちクルマ屋にとっての”いいクルマ”であり、今後も、どれだけ技術が高度化しても、わたしたちが作っていくべきクルマなのだと考えています」。
また、この質問に対して、中嶋新副社長は、「正直申し上げて、豊田社長の仰っている”もっといいクルマ作り”というものを理解するのに、わたしは時間がかかりました。長い時間をかけて、(豊田社長に開発の)現場へ来ていただき、対話を重ねて、時にわたしたち(エンジニア)からお願いをきいてもらって、やっと理解できたというところです。それはやはり、先ほど佐藤が申し上げたとおり、クルマとしてベースの素性がいいこと、お客さまの素直な感想を反映できていること、そういうところをこれからも大事にしてまいりたいと思いますので、ご理解とご指導をよろしくお願いいたします」と語った。
約1時間半にわたる会見のなかでさまざまな質問と回答が飛び交ったが、現場で話を聞いた本企画担当編集者が受け取ったなかで印象深かったのは、「トヨタはバッテリーEVの開発に力を入れていないのではないか」という質問に対する、佐藤新社長の回答でした。
「わたしはエンジニア出身です。必要な選択肢がなければ、選択肢を載せることがエンジニアの仕事だと思っています」。
もちろんトヨタがBEVに力を入れていない、ということはないと思うのだが、それを超えて、もし仮に必要なものが足りなければ、なければ、作ればよい、という気概を感じました。
会見の最後に記者から「豊田社長は就任会見時に、どんな社長になりたいかと聞かれて、”現場に一番近い社長になりたい”と答えてらっしゃいました。佐藤さんはどのような社長になりたいですか」と質問があり、佐藤新社長は「トヨタはものづくりの会社です。だからこそ、クルマを作り続ける社長でありたいです」と答えた。
エンジニア出身の若き佐藤新社長(53歳)、世界のクルマ界がいままさに渦中のさなかにある「100年に一度の荒波」を、ぜひ乗り越えていただきたいです。
【画像ギャラリー】トヨタ佐藤新社長の新体制発表会見の様子(4枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方