パトカーや白バイの追尾を振り切ろうと無謀な運転して、悲惨な交通事故を引き起こす事例が後を絶ちません。
昔から都市伝説のように、パトカーに追尾されたとき、「県境を越えれば逃げ切れる」と言われていますが、はたして本当なのでしょうか?
文:ベストカー編集部/写真:編集部
逃げたところで証拠は押さえられている
近年、交通違反にかぎらず、不審車両に対するパトカーなどによる追尾は、警察の内規によって「深追いはしない」方向になっています。
これには、深追いによって引き起こされる重大事故を避ける狙いがあるからです。
最近のパトカーには前方に向けた動画カメラが設置されており、追尾中の様子を記録していますし、必要に応じて助手席の警察官が記録写真を撮影するなど「採証活動」をしています。
つまり、証拠を集めながら追尾しているので、わざわざ「止めるための」深追いが必要なくなっているのです。追尾しながらナンバープレートなどの情報を本部に照会して盗難車ではないかなど、所有者の情報を確認しているので、交通違反の容疑であれば、後日証拠をそろえて自宅に検挙に行くこともできます。
また、飲酒運転の疑いであるとか、盗難車両などの明らかな逃走に対しては緊急配備をすることで、進行方向前方で別動隊が待ち構え、追尾とは別の方法で停止させることも合わせて実施しています。
県境付近の場合、隣接する都府県警との間に協力体制が規定されており、橋の向こうで警察が待ち構えている、ということもありますから、「県境を越えれば逃げ切れる」などということはあり得ません。
逃走を図るクルマの場合、薬物や飲酒運転の可能性が高いので、深追いは無謀運転につながりやすいため慎重な対応をしているのです。
高速道路の場合、インターチェンジ間に県境がある場合がほとんどなので、隣接する県警との間で相互共同管轄区域が設定されています。
例えば東名高速では大井松田インター(神奈川県)~御殿場インター(静岡県)の間は神奈川県警と静岡県警のパトカーが行き来しており、県境に関係なく、双方の警察が必要に応じた取り締まり活動を実施しています。
現に大井松田インター近くで静岡県警のパトカーが取り締まりをしているシーンを見たり、逆に御殿場インター付近で神奈川県警のパトカーが取り締まりをしているところを見かけます。
また、関越道や外環道は東京都の区間がとても短いため、警視庁の高速隊は乗り入れていません。
関越道の場合、練馬出入り口から新座料金所の手前までが東京都なのですが、ここも埼玉県警のパトカーが当たり前のように行き来し、取り締まりはもちろんのこと事故の対応やその他警察業務を担当しています。
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