夏がやってきました。近年、スマホはカーナビ代わりに地図アプリを利用したり、車内オーディオに接続して音楽を楽しんだりと、多彩な活用シーンでクルマ生活を快適にしています。その一方で、車内の温度管理は至難の業であり、精密機械であるスマホにとっては超絶過酷な環境です。
直射日光を浴びるダッシュボードはわずか10分で60℃以上、30分で70℃超に到達し、メーカーの動作保証温度「0℃〜35℃」を大きく逸脱。高温下でスマホを放置すれば、バッテリー膨張や液晶パネルの変色、動作異常を引き起こし、最悪は故障・使用不能に。さらに走行中にエアコンの風があたる乗員と異なり、直射日光が当たるダッシュボード上は冷房効果が及ばず、過熱リスクは増大します。
JAFの車内温度調査や各キャリア・スマホメーカーの注意事項、ベストカーWeb過去記事を参照し、駐車中だけでなく走行中のスマホ設置場所も含め、猛暑シーズンのトラブルと対策を徹底解説します。
文:ベストカーWeb編集部、画像:JAF、AdobeStock、ベストカー編集部
車内で拡大するスマホ活用
近年はApple CarPlayやAndroid Autoの普及で、スマホをカーナビ代わりに使うドライバーが急増。BluetoothやUSB接続を介して車内オーディオと連携し、ストリーミング音楽やポッドキャストを楽しむシーンも定番化しています。
ベストカーWeb読者アンケートによると、通勤・週末ドライブでスマホがインフォテインメントの中心となるケースが約7割に上るという調査結果も。多機能化が進む一方、走行中の視認性向上のためにダッシュボード上にスマホホルダーを装着する機会も増え、炎天下での直射日光リスクも同時に高まっています。
ダッシュボードは高温地獄!?
JAFの実測データによれば、晴天の直射日光下で車内温度はわずか10分で60℃以上、30分で70℃超に到達。ガラス越しの日差しが熱を閉じ込める“温室効果”により、ダッシュボード表面は外気温+20℃前後まで急上昇します。
ベストカーWeb過去記事「夏の車内温度実測レポート」では、正午の車種によっては80℃超を記録した例もあり、スマホメーカーが想定する動作保証温度域(0℃〜35℃)を大幅にオーバー。遮熱カバーを敷いても10〜20℃の低減にとどまり、根本的な過熱対策には至りません。
キャリア・メーカーの注意事項
NTTドコモ、au、ソフトバンクは動作保証温度を「0℃〜35℃」、保管温度を「-20℃〜45℃」と規定。ドコモ公式サイトのQ&Aでは、車内放置による故障事例を紹介し注意を喚起。au公式YouTubeでは過熱によるバッテリー膨張や電源断の動画解説を配信し、夏場の取扱いを推奨しています。
AppleもiPhoneの動作保証温度を同じ温度域と定め、60℃超での放置禁止を明記。SamsungやGoogle Pixelも高温によるチップ劣化や画面焼き付きリスクを警告しており、いずれも直射日光下での使用を避けるよう呼びかけています。
(編集部注…「じゃあなんで車内に常設されているカーオーディオ類は無事なんだ?」と不思議になりますが、以前某大手カーナビメーカーのエンジニアに取材したところによると、「直射日光にはあたらない位置に設置」と「車内テストを死ぬほどやって、素材と構造の修正を繰り返した結果」という、まさかの(ほぼ)根性論で解決していて、日本の製造業すげえ…と感じました。ただそれも10年くらい前の話であり、昨今の日本列島の酷暑化をふまえると、根本的な事情が変わってきそうです)





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