■マッドテレーンタイヤを買う人が減りそうな気がする
続いてはオフロードでの試乗。
今回オフロードでの試乗が行われたのはかつて浅間火山レースが開催されたコースだ。1950年代にオートバイレースが開催された場所で、まさに日本のモータースポーツの夜明けのような聖地でもある。
そんな聖なるコースに到着したはいいが、連日の梅雨で地面はグッチャグチャ。ここではさっきまでとは裏腹にオフロードでの心配が出てくる。
あれだけ舗装路で静かで乗り心地もいいタイヤが、オフロードでしゃっきり走るわけがないと思ってしまう。
きっとオフロード試乗とはいっても平坦なコース設定だろうな、と思いつつ走る。「途中で係が立っているので一時停止して指示に従ってください」と言われたのが気になるが。
コースを進むが平坦路はなんら問題はない。まあこれくらいの道ならこれまでのオールテレーンタイヤもこなせるし、なんてちょっとホッとしていた。
前方にスタッフが見えてきた。窓を開けると「副変速機を4Lに入れてください」とのこと。4Lとは4WD+ローレンジ、簡単に言えば「これから悪路を走るから準備をしてね」ということ。
前方はまっすぐ平坦な道。なぜに4Lにするのかと疑問に思っていると、爽やかなスタッフのお兄さんが「右手の崖を下りて前方の坂を登ってくださいね」とニッコリ。
いや、これがマッドテレーンタイヤの試乗ならお兄さんの要求もわかる……。究極の性能を体感してね、って気持ち凄くわかる。でもこれATタイヤでっせ。しかも舗装路での乗り味もいいやつ。
一抹の不安(ワクワクが勝っていたけど)を抱えつつ崖を下る。15°くらいの斜度だろうか。下り勾配でブレーキを踏んでみる。普通ならズルズルっと滑るのだがそんな気配はない。
それならばと今度は登り勾配で停車してみる。下がらない。そしてトラクションをじわっとかけると、やや後退はするものの地面をガッチリつかむ。
我ながら性格が悪い気がしたが、いろいろと意地悪をしてみるものの、まあなんてことはない。登るし、下るし、滑らない。どうなってんだこのタイヤ。
だんだんとこのタイヤのねらい目がわかってきた。
それは一般的な4WDオーナーからすればオフロード性能に特化したマッドテレーンまでは必要ないけれど、ある程度のオフロード性能も担保しておきたい消費者が多いってこと。そこにコハマタイヤが着目したのだ。
ブロックがゴツゴツしているのがワイルドでかっこいい、それが多くの4WDユーザーのタイヤ選びの着眼点。でも街乗りで会話が厳しくなるようなノイズは嫌だし、脳天が揺さぶられるような固さも嫌だ。
それでいてせっかく4WDを買ったのにタイヤが不安でキャンプにも行けないとか、ロックフェスにも行けないなんて考えたくないわけです。
一見わがままにも聞こえるがそれが多くの4WDユーザーのリアルだ。舗装路が快適でも、オフロードでスタックする4WDほどカッコ悪いものはないしね。
だからこそ舗装路も快適、オフロードも平均点以上の走りをできるGEOLANDAR X-ATの価値は今後多く出てきそうに思う。
わがままを言うならばホワイトレターの設定と、ジムニーやRAV4など小型~ミドルサイズ4WDへのサイズ設定を増やしてほしいなぁ……。
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