18歳で86オーナーに。トヨタへの手紙から始まった物語

18歳で86オーナーに。トヨタへの手紙から始まった物語

 トヨタに「ある手紙」を送った高校生の青年が、高校を卒業し、その手紙の宣言どおり86を購入した。

 2016年9月10日、和歌山市にある和歌山トヨタ小雑賀店で、86の納車が行われた。オーナーは1997年9月生まれの18歳で、今年の3月に免許を取得したばかりの根来悠哉(ねごろゆうや)くんだ。

 この青年がなぜ86を買ったのか? そのエピソードを語る前に、まずは彼がしたためた文章を読んでいただきたい。

 文:ゴリ奥野/写真:清水良太
協力:86&BRZ WORLD編集部
ベストカー2016年10月26日号


「いつか86に乗ってやる!」。その思いがついに叶った

 『86を大好きになった日から約4年半、我が家に“86Kouki”がやって来た。この約4年半、毎日のように86を追い続けた。86を大好きになった日からの約1年半は、ネットや雑誌を利用し写真や動画で堪能していたのですが、ふと「これじゃ物足りない!」と思い約3年前、母にお願いをして86&BRZのオフ会に連れて行ってもらいました。

 そこで、和歌山にお住いの86オーナーさんと知り合い、カッコよくカスタマイズをされた86を見て、「いつか僕も必ず86に乗ってやる!」と思ったのが私の原点です。

 それから86に関するグッズなどは発売されるたびに購入し、86がメインの雑誌はほとんど購入し常に見ていましたネ♪ 街で86を見かけた時は見えなくなるまで見続け、時には走り去る86を追いかけたりもしました(笑)。

 しばらくは母の86Koukiです。でも、大好きな86が自宅にあることがうれしくて、うれしくて。夢だった親子での86共有。

 これからたくさんイベントに参加したいですし、全国各地のTOUGEに足を運びたいですね。 たくさんの思い出を家族、86と共に作っていけたらイイなと思います。』(文・根来悠哉)

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納車された運転席に座る根来くん。助手席のお母さんと後席のおばあさんも笑顔

86という1台のクルマが紡いだ物語

2014年8月6日付け日本経済新聞の86広告に使われた彼の手紙
2014年8月6日付け日本経済新聞の86広告に使われた彼の手紙

 今から約2年前の2014年8月6日、日経新聞のトヨタ全面広告に見慣れない絵柄が掲載された。86の登場に衝撃を受けた高校生(当時16歳)からの直筆の手紙。

 みずみずしい筆致で「将来は絶対に86に乗ります」としたため、トヨタに郵送。手紙の内容に感銘を受けた多田哲哉チーフエンジニアをはじめとするトヨタ関係者の発案により、原文そのままで掲載された異例の全面広告だ。

 この手紙を書いた根来くんは現在、専門学校に通う学生。クルマ好きの母の影響で、小さい時からスポーツカーが大好き。おもちゃ屋に足を運び、買い集めたミニカーは86だけで50台と、そのはまり方は半端ではない。

 2011年に開催された東京モーターショーの報道で86を知り、ビビビときた根来くん(当時中学生)は、地元のAREA86(※86の展示・試乗車を設置し、マスタースタッフが常駐する店舗)で開催されたお披露目会に参加。

 運転する母の隣で86のリアルな魅力を感じた根来くんは、近い将来の購入を固く決意した。

 そして、今年9月10日、トヨタに「あの手紙」を送った根来くん本人が、高校を卒業し宣言どおり86を購入、納車式の日を迎えた。和歌山トヨタ営業スタッフの手際のいい説明で納車式はおごそかに進む。

 ひととおりの説明を終え、根来くんの86のキーを取りに行くスタッフ。数分後、特大のキーを持って現われたのはなんと86チーフエンジニアの多田さん。この日に納車されることを知っていた多田さんがお忍びで駆けつけ、自ら86のキーを手渡すというサプライズ演出が行われたのだ。

 86スタイル以来の再会に目を丸くし、驚きを隠せない根来くん親子(&祖母)。世界初(?)のドッキリ納車式はこうしてクライマックスを迎えた。

 「一生忘れられない納車式。最高の思い出になりました」(根来くん)。「これから末永く楽しんでください」(多田さん)。

 二人で実車と対面し、多田さんから遊び方のアドバイスを受けた後、自らステアリングを握り、母と祖母を乗せて出発。最高の笑顔を見せながら、和歌山トヨタを後にした。

 「86のプロジェクトがスタートした時、いつかこんな日が来たらいいねと話していました。本当にうれしいです」と多田さんも感無量。根来くんが購入した86は単なるスポーツカーの領域を超え、人生を豊かにしてくれる「家族」となった。

 86の作り手から乗り手へ。クルマ好き同士の真心が通った感動的な瞬間だった。

次ページは : 開発責任者、多田哲哉氏の思い

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