人気大爆発の新型プリウス。その個性的なルックスも相まって受注も好調のようだが、なんとすでにエイジングされたかっこいいプリウスがいるという。いったいどういうことよ!! 福島県のラッピング屋さんに聞きました!!
文:ベストカーWeb編集部/写真:CARAPP(荒 滝之輔)
■7年ぶりの新作「サビプリウス」
サビたクルマというのはどこか哀愁を帯びて、ノスタルジーを誘うもの。特に旧車はサビもひとつの経歴というかクルマが歩んだ道のりを示すもので、最近のレストアのトレンドでは保存的にサビを残すなんてこともある。
当たり前のことだが新車がサビるというのはなかなか新鮮なもので、いま編集担当の脳は目前の写真を見てパニックを起こしている。だって新型プリウスがもうサビてるんだもん!!! これっていったいどうなってんのよ~ということで、このプリウスを制作した福島県郡山市の「CARAPP(カラップ)」の服部純也さんを直撃。
「うちはラッピングをしているお店で普段はスーパーGTの7号車”チームスタディー”のマシンだったり、一般のオーナーさまのカーラッピングをしています。実は7年前にもプリウスをサビでラッピングしたことがあって、それが話題になったんです。だから新しいプリウスでもやろう、と思って作っちゃいました(笑)」
でも新型プリウスはまだまだ登場から間もないし、納期が短くなってきたとはいえもうラッピングされちゃっているってすごくないか……。
「2023年1月26日に納車されました。そして28日にはこの姿になっていましたよ。5人がかりで10時間ほどで貼り終えたんです」と服部さん。うーん、すごいぞ職人芸!!
■細部に宿るセンスとクルマ愛
納車から2日でここまで姿になるとはなかなか想像しにくいのだが、なんと服部さんは新型プリウスが発表された後に、実車写真から大まかなサイズを割り出し仮のラッピングデータを作っておいたという。
それを納車直後に実車に当てて、角度や寸法などを微調整を行い本番用のデータを出力したそうだ。ラッピング当日は「本番用のデータを出力しながら横では職人が完成したフィルムを貼り続けてました」と服部さんは振り返る。
今回のラッピングのテーマは「昭和のバン」。たしかにドア部分の屋号だったり、どことなく日本的なサビかたにも思えるし、表情が違うサビのディテールが美しい。服部さんはデザインから施工まで自身で完結するので、このようなオリジナルデザインのラッピングの依頼も多くあるそうだ。
またドア下に一本斜め上に跳ね上がるようなサビにも注目したい。これは新型プリウスの特長的なキャラクターラインを活かしたもの。グサッととえぐられた金属地からサビが広がり滴り落ちる……。物理的な法則に逆らわずも個性を出すその観察眼はすごいのひと言。
「サビプリウスを世に出してからこのようなド派手なクルマばかり施工されていると思われがちですが、実際は普通のクルマの施工もしていますし、むしろそっちが本業です(笑)。もちろん同じ仕様もできますし、相談しながら世界にひとつのデザインも目指せます」。
外観はサビているように見えるこのプリウスだが、当然ラッピングフィルムを剝げばもとのキレイな塗装面が顔を出す。査定だって傷がつきにくいから有利になったりするのだ。
日本ではあまり有名ではなかったカーラッピングというクルマの新たな楽しみ方を広めた先代のサビプリウス。新型サビプリウスではより深くその楽しさを定着させることに貢献してくれそうだ。
【画像ギャラリー】これぞ「わびサビ」だわ!! MIRAIもある!! 新型サビプリウス詳細一挙公開(8枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方30系プリウスの時も錆ラッピング大好きでした。ぜひホイールも年代物の鉄チンに換えて欲しいです