三菱ふそう100%子会社の車体架装メーカー「パブコ」が、いすゞギガベースの大型平ボディを同時に2台製作。どちらの車両も大型工作機械を運ぶためのもので、運送会社の基本仕様がベースなので見た目も似ているが、よ〜く見てみると微妙に違う!? オーダーメイドらしさ溢れる2台の平ボディに迫る。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2023年3月発行「フルロード」第48号より
ドライバーがつくる世界に1台の平ボディ
パブコは明治34年(1901年)に設立された車体架装メーカーで、神奈川県海老名市の本社工場はウイング等カーゴ系ボディの生産拠点として知られる。一方、奈良県大和郡山市にある同社・近畿工場は100%受注生産の平ボディが専門。今回紹介する2台の平ボディも近畿工場でつくられたものだ。
依頼主の大阪此花運送(大阪市西淀川区)は、大型工作機械や自動販売機等の運搬/据え付けをメインで行なう運送会社。今回オーダーした2台は大型工作機械を運ぶためのもので、基準となるスペックは「荷台内法長9500mm、内法幅2400mm、床面地上高1000mm、最大積載量13000kg」である。
大阪此花運送の平ボディは、各担当ドライバーの要望を可能な限り反映するのが大きな特徴。今回完成した2台も、製作段階で各担当ドライバーとパブコの営業マンが何度も打ち合わせを行なって仕様を煮詰めたそうで、それぞれ世界で1台の平ボディと言っても過言ではない。
なお、本稿では便宜上、サイドアオリが2段式の車両を「2段アオリ車」、同1段式の車両を「1段アオリ車」と呼び分ける。
似ているようで異なる細部の仕様
架装ベース車両は、どちらもいすゞギガCYJ系4軸低床8×4リアエアサスシャシー(車両総重量25トン級)のベッド付フルキャブ/標準ルーフ仕様。床面地上高を低く抑えるため、縦根太は「フラットバー」と呼ばれる薄い鉄板を採用。これにより床面地上高1020mmを実現する。
平ボディの床面地上高を低く抑える手法としては、縦根太に横根太を貫通させる「平面交差」も多く見られるが、平面交差は補強材の影響でフラットバーに比べて最大積載量が100〜200kg減トンされることから、今回は採用していない。
荷台はどちらも5方開だが、前述の通りサイドアオリの仕様は異なり、2段アオリ車は作業性を重視して2段式サイドアオリ+ノーマル丁番を採用。一方、1段アオリ車は標準的な1枚物サイドアオリ+外出し丁番を採用。荷台内法幅は2段アオリ車が2350mmで、1段アオリ車が2400mmとなっている。
床の仕様も、1段アオリ車が大阪此花運送のベーシックな仕様であるアピトン床材+鉄板を採用するのに対して、2段アオリ車は竹床材+鉄板を採用。2段アオリ車が竹床材を採用するのは架装重量が若干重く、軽量化を図るためという。
なお最終スペックは荷台内法長9500mm、荷台内法幅2350mm/2400mm、床面地上高1020mm、最大積載量13000kgとなっている。