スペアタイヤの使い方
そこでスペアタイヤをどのように使うか? 緊急時はもちろんですが、定期的に動かすにはどうすれば良いのか? 実際の現場での作業を紹介します。
まず新車納車の場合、当然新品タイヤが搭載されているので、頃合いを見てスペアタイヤを下ろし、ホイールから外したタイヤを保管。タイヤ交換時ならすり減ってるタイヤの中で状態の良いタイヤと組み換え、これをスペアタイヤにします。
見た目にはちょっとアレですが、これで新品タイヤを確保できます。それをトラック数台に実施すれば違う車両のタイヤ交換時に組み換えだけで済むので出費が抑えられます。もちろん、偶数本で同じサイズ、パターンというのが条件ですが……。
通常のタイヤ交換時も同様に古いスペアタイヤを下ろし新品に交換し、それを車両へ装着。交換するタイヤの中で状態の良いタイヤをスペアタイヤにするという作業や、その逆もあります。
イレギュラーなタイヤ交換の例としては、サイドカットやバースト、パンク修理不可となった損傷の大きいタイヤなど、一本だけを新品にする場合があります。
損傷したタイヤ以外がほぼ新品なら、新品タイヤをそのまま車両に装着しても然程問題無いのですが、ある程度摩耗が進行しているもののまだ交換するほどではない場合は、スペアタイヤを活用します。スペアを車両側へ装着して新品タイヤはスペアタイヤとして釣り上げるのです。
そして次回のタイヤ交換のタイミングでその新品のスペアタイヤと車両側の奇数本数で装着するという流れです。
また、スペアタイヤも運行前点検等に取り入れて頂けるとより安全性が増します。実は取り付け状態の不備によりスペアタイヤが車両から脱落するケースがあり、数年前に高速道路でスペアタイヤの落下が原因の死亡事故も起きております。
スペアタイヤの脱着作業の後はもちろんですが、運行前点検などで定期的に見たり、スペアタイヤを押したり揺すったりしてガタツキを見て欲しいです。
以前、タイヤ作業とは別にスペアタイヤのキャリア巻き上げの「増し締め」を実施してみたことがあります。トラックの約20%くらいは、ほんの少しですがキャリアが緩んでおりました。
この緩みを放置しておくと、最悪の場合スペアタイヤの落下事故へと繋がりますので、今一度スペア取り付け状況をチェックして頂けると嬉しい限りです。
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