2026年1月9日、幕張メッセ(千葉県)で開幕した東京オートサロン2026の会場で、ひときわ「走りたい気持ち」を刺激していたのがHC GALLERYのブースだ。狙いは派手なデモカー展示ではなく、モータースポーツの入口を広げること。注目は、スーパー耐久の新カテゴリー「S耐チャレンジ」で導入された“レーシングシミュレーター式チュートリアル”。アウトラップからローリングスタート、ピットインまで、レース運営の一連を疑似体験しながら学べるという。実際に体験して、その狙いと手応えを確かめてきた。
文、写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】「初めての耐久レース」を安全に叶える!HC GALLERYの“チュートリアルシステム”を東京オートサロン2026で体験(1枚)画像ギャラリーアウトラップからピットまで、レースを体で覚える
大盛況の東京オートサロン2026(1月9~11日)、会場の幕張メッセでひときわ注目を集めていたのが、東ホール7のHC GALLERYブース(小間番号704)、「セーフティレースデビューを実現する“チュートリアルシステム”」だ。言葉だけ聞くとゲームの操作説明のようだが、狙いはもっと現実的。近年、レースの裾野を広げる一方で、初参戦ゆえの不手際、不安、そして事故が安全面のボトルネックになりやすい。
そこでHC GALLERYは、レースの流れそのものをシミュレーターで段階的に体に入れてしまおうという。
従来のシミュレーターは自車以外の周囲のクルマはプロ級の腕前だが、HC GALLERYのシミュレーターソフトは「周囲もちゃんと素人」だというのがポイント。ライン取り不安定だし、ぶつかってきたりもする。つまり「ちゃんとレース初体験が積める」。
背景にあるのが、2025年度スーパー耐久の最終戦でリリースされた新カテゴリー「S耐チャレンジ」。このレースは60分のミニ耐久ながら、タイヤ交換など耐久参戦に必要な技能が義務化され、初回から84名がエントリーしたという。参戦者には「レースは初めて」という層も多く、ここで“安全に、滞りなく走らせる”ために採り入れられたのがレーシングシミュレーターを活用したチュートリアルだった。
体験の中身は、単なるサーキット走行の練習ではない。アウトラップからグリッド整列、フォーメーションラップ、ローリングスタート、ピットイン/アウト、そして各種ペナルティの提示まで、レース運営の流れを網羅する。
要するに「速く走る」より前に、「何を、いつ、どうするか」を(実体験に近いかたちで)理解させる設計だ。ブースでは、その一連を“間違えても大丈夫な環境”で繰り返せるのがポイントで、初参加者がつまずきがちな手順を、順番どおりに経験できる。本来であれば実際にサーキットへ行って、何度も走って体と脳ミソと自分のクルマで体験して身につけていくノウハウを、ちゃんとシミュレートできるということ。
このシミュレーターを事前に参加ドライバーへ実施させたところ、実際のS耐チャレンジ初戦でも、本戦での走行ペナルティはピット速度超過が1名のみで、クラッシュはもちろんSC(セーフティカー)や赤旗も出なかったという結果が紹介されていた。マジか。「初回なのに、レースが荒れない」という事実は、この仕組みの説得力を一気に高める。
もちろん、シミュレーターは万能ではない。視界の広さ、Gのかかり方、タイヤの限界感など、実車と同じにはならない。それでも「レースは速さ以前に経験が重要」という当たり前を、疑似体験として身に付けられる価値は大きい。とくに耐久は、周回を重ねるほど状況が変わり、ルールを守って堅実に走り、ペナルティ対応も含めた文字通り耐久勝負。初心者が最初に学ぶべきは、実はドライビングテクより“段取り”だと気付かされる。
HC GALLERYは、サーキット専用車とシミュレーターのシェアリングサービス「HC SHARING」を運営し、月々3,300円から始められるプランでサーキットデビューを後押ししているという。今回のチュートリアルは、その延長線上にある“安全に挑戦するための教材”だ。レースを「一部の経験者だけの世界」から、「学べば入っていける世界」へ。東京オートサロンらしい“夢の見せ方”は数多いが、ここまで現実の一歩を具体的に用意した展示は珍しい。レースに憧れはある。でも怖い——。そんな人ほど、一度このシステムで“初参戦の流れ”を体験してみてほしい。


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