「伝統」と「新時代」がクロスオーバー!! 新型クラウンの超アウトドア仕様に見た市販化と進むべき道

■血統確かな名馬が荷馬車を引くような遊び心

 昨年秋に実施された新型クラウン世界初披露の前に、「今度のクラウンはSUVになるかもしれない」とベストカーで速報が出た際、SNSを中心に、さまざまな「お気持ち表明」が飛び交った。もちろん多様化も大切だし、そのうえで「名馬は名馬たれ」といった貴重なご意見も多数あった。

 しかし、名馬も仕事をしなければ駄馬になってしまうとも言える。今の時代はただ美しいしとやかな白馬よりも、かつてのG1サラブレッドである”ゴールドシップ”のような、破天荒名馬が若者に人気を博する時代でもある。

 新型車の開発チームでは、まずいろいろなスケッチを引くそうだ。今回のカスタム仕様を提案するにあたり、「クラウンが自転車を積んだら面白くないですか?」、「いやいやそれならキャンピングカーゴ引っ張らせません?」など、若いエンジニアたちからアイデアが共有アプリに次々と届いたという。

 チーフエンジニアの皿田氏たちは、それらを経験から精査し、さらにチームでブラッシュアップして、具体的な製品の制作と販売へと結びつけていくそうだ。

「これこそがまさに、若い発想と熟年の知恵がクロスオーバーする瞬間なんですよね」と笑顔を見せてくれた。いい話だなーー!

クラウンの開発責任者である皿田明弘氏(前列左端)とMS製品企画ZS主査の本間裕二氏(左から2番目)、今回のカスタムを企画する上で色々なアイデアを出してくれた若手エンジニアの皆さん(右2名)も並んでパシャリ!!  「若い発想と熟年の経験がクロスオーバーする瞬間が大切」と語る
クラウンの開発責任者である皿田明弘氏(前列左端)とMS製品企画ZS主査の本間裕二氏(左から2番目)、今回のカスタムを企画する上で色々なアイデアを出してくれた若手エンジニアの皆さん(右2名)も並んでパシャリ!! 「若い発想と熟年の経験がクロスオーバーする瞬間が大切」と語る

■クラウンはますます細分化され進化してゆく

「この先、クラウンはどのように進化していくんでしょうか」と皿田氏へ記者が尋ねると、「豊田章男社長が手を広げて(2022年7月15日の新型クラウンワールドプレミア会場での)大発表をおこなったラインナップの中に、クラウンのさらなる進化系のヒントはすでに隠れているんですよ」と語ってくれた。

 なにもクラウンが「クロスオーバー」だけになるというわけではない。派生形を生み出し、さらにそこから進化する、ということか。たとえばセダンやクーペSUVとして愛される形もあり、アウトドア仕様もあり、2ドアクーペやオープン仕様、シャコタンのレーシングカスタムやラリー車として開発チームがハンドルを握ることだってあり得るかも!?? もちろんゼロエミッションのBEVや水素エンジンのような、多様な未来も見据えていくだろう。

アウトドアショー2023のレクサス+トヨタブース。新型レクサスRXやGX(のアウトドア仕様)なども展示された
アウトドアショー2023のレクサス+トヨタブース。新型レクサスRXやGX(のアウトドア仕様)なども展示された

 現行型クラウンは、すでに発売されているクロスオーバーのほかに、今年から来春にかけてスポーツ(クーペSUV)、エステート、セダンが登場する、と公言されている。このそれぞれのモデルが(今回「クロスオーバー」から超アウトドア仕様が生まれたように)さらに枝分かれして進化モデルを生み出す可能性がある、ということだろう。なにそれ楽しすぎる未来なんですけど!!!

 お話を伺って、この先クラウンは、ただひとつの車名というより、伝統と新時代の架け橋という役目を担いながら、トヨタの旗艦として概念的な存在になっていくのだなと感じた。

「こんなのは俺の憧れていたクラウンじゃねぇ!」と硬く口を結ぶおとうさんたちをお誘いして、孫と一緒に後部座席でキャンプに出掛けてもらいたい。そういう多様性こそが、これからの時代のクラウンに求められてゆくのだろう。

【CROWN OUTDOOR CONCEPT 主要諸元と追加装備内容】
サイズ:全長4,930(±0)mm×全幅1,900(+60)mm×全高1,590(+50)mm
ボディカラー:アーバンカーキ
パワートレーン:2.5L 直列4気筒 ハイブリッドシステム
追加装備:オリジナルアルミスキッドプレート
牽引フック
オーバーフェンダー
マッドガード
アルミ製キャリア
LEDライト
タイヤ:265/60R18 オールテレーンタイヤ+18インチ/7.5Jホイール

【画像ギャラリー】クラウンアウトドアコンセプト、見れば見るほど「これ…欲しいんだけど…」という気分に。市販化検討中だそうです。ぜひ!!!!(18枚)画像ギャラリー

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