10年ほど前のガソリン価格高騰やリーマンショックを期に、「燃費」は車選びの重要項目に浮上したが、今や燃費一辺倒ではなく、走りなどその他の部分でプラスαの魅力を持つ車が多数存在する時代になった。車としての楽しさを持ち、カタログ燃費も20.0km/Lを超える、「燃費の悪い車はちょっと……」と敬遠気味のユーザーや家族も納得の“燃費だけじゃない車”をジャンル別に紹介したい。
文:永田恵一/写真:編集部
軽さと燃費の“二刀流”アルトワークス
軽自動車ではS660と迷いながらアルトワークスを挙げる。
動力性能は決して高くないものの、軽乗用車のミッドシップながら安心して楽しめるハンドリングや剛性感の高いブレーキフィールなどスポーツカーらしさ満点のS660を差し置いてアルトワークスを選んだ理由は「刺激」だ。
アルトワークスは、車重が670kgとS660に対し200kg近く軽いだけに、アクセルを深く踏むと「オオッ」と感じるくらいの速さを持っている。
これに加え、エンジンフィールもターボエンジンらしいパンチがあり、軽という小さなボディサイズも生かして混んだ市街地で空いた車線を探しながら走っているだけでも楽しめる。
硬めのサスペンションも若い人だけでなく、ハンドリング、乗り心地ともに大人が乗っても納得できるレベルに仕上がっており、多くの人が楽しめる点も高く評価できる。
それでいて価格もリーズナブル。維持費も軽自動車なので安く、4人が乗れて、20km/L近い実用燃費も期待できる。入門スポーツモデルや比較的軽い気持ちで買える大人のオモチャとしても勧められる存在だ。
ハイブリッドでも楽しめるノートe-POWER
ノートe-POWERの楽しさは、「シリーズハイブリッド」というハイブリッドシステムによるところが大きい。
その仕組みは1.2Lエンジンを発電専用に使い、駆動は先代リーフのモーター(109馬力)で行うというもの。
先代リーフでも十分な速さを感じるところに、ノートe-POWERは車重が200kgも軽い。最高速こそ146km/h(「ベストカー」テスト値)と伸びないものの、0-400m加速16.4秒、0-100km/h加速8.8秒というスポーツモデル並みの加速力を持つ。
さらにその加速感もモーターのみで駆動しているため、スムースかつレスポンスよくスピードが乗るのも大きな魅力だ。
加えて、エコモードとSモードで作動するワンペダルドライブは、減速エネルギーをより多くバッテリーに戻せるだけでなく、慣れは要るものの、ブレーキ操作の激減やスピード調整の楽さに繋がることなども魅力。
疲労軽減以外にも、アクセルオフだけでクルマをうまく停止する、車の姿勢作りにも使えるなど運転する楽しさも備える。
さらに、ノート e-POWERには停止まで対応する先行車追従型のクルーズコントロール(ACC)を装備。スポーティなNISMOなど、バリエーションも豊富で(売れるからメーカーも力を入れる好循環ともいえるが)、エコで楽しい車として販売好調なのもよく分かる。
ガソリン車でも燃費よく楽しいフィアット500
この車の楽しさは、ズバリ“ツインエア”の名が示す2気筒エンジンに尽きる。
フィアット500の2気筒エンジン+5速AMTというパワートレーンは、「バタバタ」というエンジン音がする、「ドコドコ」という振動がする、AMTも賢くないと、一般的に見れば良いパワートレーンとは言えない。
しかし、見方を変えれば面白いエンジン音、振動も振動ではなく鼓動、賢くないAMTも「自分でシフト操作を補いながら乗るのが楽しい」と解釈することもでき、車好きだったらすべてが個性的で普通に乗っていて実に楽しい。
それでいて20km/L近い実用燃費も期待でき、もう登場から10年選手ながら、個性的な車が欲しい人には未だに勧められる。
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