人体の超重要なパーツにして、地名の一部にも使われることがある「耳目鼻口」。特に身近でポピュラーな漢字という印象を抱くが、そういった地名を持つ場所へアクセスする、路線バスのバス停名にも頻繁に利用されている気がする。耳目鼻口の中で特に数が多いのはどれだろう?
文・写真:中山修一
(目耳鼻口がつくバス停の写真つき記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■それぞれのバス停の数を調べてみると……
話をしっかり聞く耳を持つ人物は貴重な存在、という現実に比例しているかどうかは知らないが、最も少数派だったのは「耳」のつくバス停だ。
地域名に「耳」が使われている例に、熊耳(福島県)や耳原(大阪府)などがあり、鳥取県には「耳」1文字で言い切る大変珍しい場所も見られる。
実は地名の中でも耳は数がかなり少なく、住所として登録されている地名は20カ所あるかないか、といった規模らしい。
一方でバス停はもう少し増えるようで、おそらく古い地名の名残で「耳」が付けられていそうなものを含めて、確認できたのは全国で32カ所だった。
熊耳や耳、耳取、耳崎など地名系のほか、意外と目立つのが耳鼻咽喉科前、いわゆるランドマーク系の停留所だ。
■耳と深くつながる「鼻」のバス停事情
次に数が少なかったのは「鼻」。地名では竹鼻(青森県・富山県)、鼻和(青森県)、宮鼻(埼玉県)ほか、およそ70箇所が全国にある。
バス停のほうは約170カ所とレア寄りながら、耳よりもだいぶ多くなる。一応、沖縄県を除いた日本全国に「鼻」のつく停留所が散らばっている。ちなみに東京都には1カ所もない。
こちらも耳とセットのような感覚ゆえ、耳鼻咽喉科系のバス停が割と確認できる。北海道には鼻系停留所が3カ所存在し、耳鼻咽喉科率100%なのがちょっと面白い。
■大増殖!? 「目」を持つバス停
続いては「目」。地名では耳から更に数が増え580カ所程度。余目(山形県)、目黒(北海道、東京都、愛媛県)、色目(岐阜県)などが挙げられる。
地名が580カ所ならバス停はその2倍くらいかな? と思いきや、目のつくバス停の数たるや何と15,000カ所オーバー!! いきなり大増殖した。
その理由は冷静に考えてみると至極シンプル。1丁目・2丁目でおなじみの「○○丁目」と称する場所が全国各地まんべんなく存在しており、それが目のつくバス停の数を猛烈に増やしている仕組みだ。
■やっぱりコイツが多数派だった……「口」のバス停
最後に残ったのが堂々の多数派ということで、「口」が頂点の座をほしいままにした。地名でも約1,300カ所と最も多い。
口のつく地名の例としては、井口(東京都、愛知県、岡山県ほか)、出口(高知県)、川口(北海道、千葉県、埼玉県ほか)、溝口(神奈川県)など。
一方で口のつくバス停の数……まさに怒涛の24,000カ所以上。調べようにもここまで来るとアルキメデスだってサジを投げる勢い。
地名系はもとより、こちらも2大勢力が分母の数を爆上げしている。一つは「○○入口」系、もう一つは駅前バスターミナルの定番「○○東西南北口」系が暗躍した結果が24,000+というワケだ。
【おさらい】
(1)「耳」のつくバス停:32カ所
(2)「鼻」のつくバス停:約170カ所
(3)「目」のつくバス停:15,000カ所以上
(4)「口」のつくバス停:24,000カ所以上