ジュークのボディに「あの」GT‒Rのエンジン&駆動系を押し込んじゃったその名も「ジュークR」! 1台6500万円で世界に4台しかない、なんとも魅力的なスーパーマシンに乗っちゃいましたよっ!(本稿は「ベストカー」2013年10月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:西川 淳
■ジュークのボディにGT-Rのドライブトレーンを搭載!
ここ最近では、並みいるスーパースポーツカーのどれよりも、とにかく、“いっぺん乗せてくれ!”、と思っていたクルマである。ジュークR……。
経験豊富なレーシングカーコンストラクターのRML(レイ・マロック・リミテッド)グループが、欧州日産の完全バックアップを受けて、ジュークにGT-Rの“ナカミ”をぶち込んだというからタマラナイ。
とりあえずユーチューブを見て興奮するほか手がなかったマシンが、今、目の前にある。しかも、試乗できるのだ!
順番を待つ間、「どうか壊れないでくれよ」と祈るばかり。ソーカルの典型的な砂漠気候は、ジュークRにもきつくあたっているらしい。一周ごとにファンを使っての強制空冷……。
同じコースに用意されたノーマルGT-Rはもちろんのこと、RのGT3でさえジュークRの漆黒のオーラを浴びて霞んでいた。少なくともボクにはそう見えた。レーシングカーなんか、ナンボのもんじゃい!
■想像を遙かに飛び越えた、強烈なインパクトに……!
いよいよ乗る番だ。軽いドアを開け、ロールケージをまたいでコックピットへと滑り込む。
インテリアの仕上げに驚いた。GT-Rの主要な内装アイテム、メーターやモニター、デバイススイッチなどがジュークの、あのユニークなコックピットにきっちりときれいに収められていたのだ。
それはGT-Rとして、筆者には見慣れた光景でもあった。逆に心が落ち着く。エンジンを掛け、気軽にDモードを選び、アクセルペダルに軽くちょんと右アシを載せてみれば……。
ドドーン! いや、バゴーン! ちゃう、ガッツーン! ううん、ズコーン!……。
いやはや、アノ、一瞬の加速をどう表現すりゃいいのやら。思わずアクセルペダルを緩めてしまい、隣のインストラクターから、踏め(プッシュ)! と促されてしまったほどだ。
気を取り直して徐々に速度を上げていく。加速フィールもライドフィールも、確かにGT-Rそのもの。だが、視線の高さと重量、密度感とがあいまって、いつなんどき飛びあがってしまい、そのまま空中分解してもおかしくないような気分に駆られた。
地を這い路面に潜り込む……、のではなく、空を裂き、宙を貫く弾丸フィーリング。いやはや、コイツは、オソロシイ。
【画像ギャラリー】ドド~ン! バコ~ン! いやいやズコ~ン!! GT-Rより魅力的!!? 日産「ジュークR」試乗プレイバック(7枚)画像ギャラリー■GT-Rの5倍の値段だけど、5倍以上目立てるぜぃ!
さすがにコーナリングでは、GT-Rのようにすべてをコントロールできるかのような安心感を与えてはくれなかった。
密度が大きく、それなりに高さのある物体が、尋常ならざる速度で強引に曲がろうとするものだから、その完璧なコントロールはいかなGT-Rの優れた電子制御をもってしても難しい。
飛ぶようにして幾つかのスラロームをクリアできたかと思いきや、最後の最後でオーバーラン。ずっと“プッシュ、プッシュ”と叫んでいた隣のインストラクターも、そこでようやくニヤリ。
なるほど、これだけハイスピードでとっちらかってしまっても、少しのタイムロスで背の高いSUVスタイルを立て直す底力がコイツにはあるってわけか……。
邦貨にして6500万円程度なら売るらしい。冗談で買える値段ではないけれど、冗談じゃなくGT-Rの5倍は目立つことは間違いない。同価格のアヴェンタドールよりも刺激的だ!
冷静になってジュークRを見れば、R35登場時にウワサされたSUV版や4ドア版の話を思い出す。RML&欧州日産の試みは、GT-Rユニットのフレクシビリティを証明している。
厚木もそろそろGT-Rのユニットを活用していい頃合い、じゃないだろうか!?
コメント
コメントの使い方