1台6500万円で世界に4台のみ!! GT-Rのパワートレーンを移植した日産「ジュークR」試乗プレイバック【10年前の再録記事プレイバック】

1台6500万円で世界に4台のみ!! GT-Rのパワートレーンを移植した日産「ジュークR」試乗プレイバック【10年前の再録記事プレイバック】

 ジュークのボディに「あの」GT‒Rのエンジン&駆動系を押し込んじゃったその名も「ジュークR」! 1台6500万円で世界に4台しかない、なんとも魅力的なスーパーマシンに乗っちゃいましたよっ!(本稿は「ベストカー」2013年10月10日号に掲載した記事の再録版となります)

文:西川 淳

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■ジュークのボディにGT-Rのドライブトレーンを搭載!

0→100km/h加速タイムは3.7秒! 最高速は実に257km/h!
0→100km/h加速タイムは3.7秒! 最高速は実に257km/h!

 ここ最近では、並みいるスーパースポーツカーのどれよりも、とにかく、“いっぺん乗せてくれ!”、と思っていたクルマである。ジュークR……。

 経験豊富なレーシングカーコンストラクターのRML(レイ・マロック・リミテッド)グループが、欧州日産の完全バックアップを受けて、ジュークにGT-Rの“ナカミ”をぶち込んだというからタマラナイ。

 とりあえずユーチューブを見て興奮するほか手がなかったマシンが、今、目の前にある。しかも、試乗できるのだ!

 順番を待つ間、「どうか壊れないでくれよ」と祈るばかり。ソーカルの典型的な砂漠気候は、ジュークRにもきつくあたっているらしい。一周ごとにファンを使っての強制空冷……。

 同じコースに用意されたノーマルGT-Rはもちろんのこと、RのGT3でさえジュークRの漆黒のオーラを浴びて霞んでいた。少なくともボクにはそう見えた。レーシングカーなんか、ナンボのもんじゃい!

数々のスーパーカーを乗り倒してきた西川淳をして「ワクワクしてたまらなかった」と言わしめたジュークR。その実力をキッチリとお伝えいたします!
数々のスーパーカーを乗り倒してきた西川淳をして「ワクワクしてたまらなかった」と言わしめたジュークR。その実力をキッチリとお伝えいたします!
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■想像を遙かに飛び越えた、強烈なインパクトに……!

エンジンはまさにR35GT‒Rの3.8L、V6ツインターボ。2013年スペックで最高出力は545bhp(約552.5ps)となる
エンジンはまさにR35GT‒Rの3.8L、V6ツインターボ。2013年スペックで最高出力は545bhp(約552.5ps)となる

 いよいよ乗る番だ。軽いドアを開け、ロールケージをまたいでコックピットへと滑り込む。

 インテリアの仕上げに驚いた。GT-Rの主要な内装アイテム、メーターやモニター、デバイススイッチなどがジュークの、あのユニークなコックピットにきっちりときれいに収められていたのだ。

 それはGT-Rとして、筆者には見慣れた光景でもあった。逆に心が落ち着く。エンジンを掛け、気軽にDモードを選び、アクセルペダルに軽くちょんと右アシを載せてみれば……。

 ドドーン! いや、バゴーン! ちゃう、ガッツーン! ううん、ズコーン!……。

強大なパワーを受け止めるためのワイドタイヤを収めるためにフェンダーはグンと張り出して全幅は実に1910mmにもなる!
強大なパワーを受け止めるためのワイドタイヤを収めるためにフェンダーはグンと張り出して全幅は実に1910mmにもなる!

 いやはや、アノ、一瞬の加速をどう表現すりゃいいのやら。思わずアクセルペダルを緩めてしまい、隣のインストラクターから、踏め(プッシュ)! と促されてしまったほどだ。

 気を取り直して徐々に速度を上げていく。加速フィールもライドフィールも、確かにGT-Rそのもの。だが、視線の高さと重量、密度感とがあいまって、いつなんどき飛びあがってしまい、そのまま空中分解してもおかしくないような気分に駆られた。

 地を這い路面に潜り込む……、のではなく、空を裂き、宙を貫く弾丸フィーリング。いやはや、コイツは、オソロシイ。

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■GT-Rの5倍の値段だけど、5倍以上目立てるぜぃ!

今回の試乗車は左ハンドルだったが、注文生産なので右ハンドル仕様も作ることができる。インパネにはGT‒Rのスイッチが並んでいた
今回の試乗車は左ハンドルだったが、注文生産なので右ハンドル仕様も作ることができる。インパネにはGT‒Rのスイッチが並んでいた

 さすがにコーナリングでは、GT-Rのようにすべてをコントロールできるかのような安心感を与えてはくれなかった。

 密度が大きく、それなりに高さのある物体が、尋常ならざる速度で強引に曲がろうとするものだから、その完璧なコントロールはいかなGT-Rの優れた電子制御をもってしても難しい。

 飛ぶようにして幾つかのスラロームをクリアできたかと思いきや、最後の最後でオーバーラン。ずっと“プッシュ、プッシュ”と叫んでいた隣のインストラクターも、そこでようやくニヤリ。

 なるほど、これだけハイスピードでとっちらかってしまっても、少しのタイムロスで背の高いSUVスタイルを立て直す底力がコイツにはあるってわけか……。

 邦貨にして6500万円程度なら売るらしい。冗談で買える値段ではないけれど、冗談じゃなくGT-Rの5倍は目立つことは間違いない。同価格のアヴェンタドールよりも刺激的だ!

 冷静になってジュークRを見れば、R35登場時にウワサされたSUV版や4ドア版の話を思い出す。RML&欧州日産の試みは、GT-Rユニットのフレクシビリティを証明している。

 厚木もそろそろGT-Rのユニットを活用していい頃合い、じゃないだろうか!?

次ページは : ■そもそもジュークRっていったいナニモノ!?

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