スカイラインらしさはあるのか? と侃々諤々 インフィニティQ50=スカイライン世界初試乗プレイバック!【10年前の再録記事プレイバック】

スカイラインらしさはあるのか? と侃々諤々 インフィニティQ50=スカイライン世界初試乗プレイバック!【10年前の再録記事プレイバック】

 2013年9月、米国で日産 新型Q50(=スカイライン)の試乗会が開催された。世界初となったこの試乗会に参加した自動車評論家の石井昌道氏に、実際に乗ったQ50はどうだったか、何よりスカイラインらしさはあるのか? について聞いてみた!(本稿は「ベストカー」2013年10月10日号に掲載した記事の再録版となります)

文:石井昌道、西川 淳

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■スカイラインらしさはあるのか?

インフィニティブランドではQ50のネーミングでさらに上級モデルとして販売されるだけあり、インテリアも先代よりいっそうグレードアップ。高級車らしい高い質感を持つ
インフィニティブランドではQ50のネーミングでさらに上級モデルとして販売されるだけあり、インテリアも先代よりいっそうグレードアップ。高級車らしい高い質感を持つ

 まずはインフィニティQ50の概要から紹介しよう。

 ボディサイズは全長4783×全幅1824×全高1443mmで、ホイールベースは現行のV36型と同じ2850mm。全長も現行型とほぼ同じだが全幅は54mmほど大きくなっていて、よりワイド&ローのフォルムに仕上がっているのが特徴。

ワイド&ローの優雅なフォルム。ボディサイズは現行型よりもひと回り大きくなり、特に全幅が広がって1800mmを超える
ワイド&ローの優雅なフォルム。ボディサイズは現行型よりもひと回り大きくなり、特に全幅が広がって1800mmを超える

 北米仕様で搭載されるエンジンは、3.7LのV6(328hp)と3.5Lハイブリッド(システム出力360hp)の2タイプ。これにどちらも7速ATが組み合わされる。ただし、日本仕様の新型スカイラインでは導入時は3.5Lハイブリッドのみの設定となりそうだ。

 プラットフォームは現行型と多くの部分で共用するものになっているが、「ダイレクト・アダプティブ・ステアリング」と呼ばれる量産車世界初の“ステアバイワイヤ”システムを採用するなど新技術を盛り込んでいるのが見逃せないポイント。

 これは、ステアリング操作を電気信号に置き換えてアクチュエーターで前輪を操舵するステア技術。操舵レスポンスに優れ、しかもドライバーの好みに応じたセッティングを選べるという、とても興味深いシステムだ。

 また、4輪マルチリンクサスペンションはアルミを多用するなど軽量化も実現していて、そのフットワークにも注目だ。

 価格は北米でハイブリッドが約440万円~、3.7Lが約370万円~となっている。

日本のスカイラインは3.5Lハイブリッドを搭載予定
日本のスカイラインは3.5Lハイブリッドを搭載予定

 というわけで、注目ポイントだらけのQ50。次はいよいよ石井氏による気になるQ50のポイントを紹介していこう!

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■石井昌道が気になるポイントを解き明かす!

インテリアの高級感もさらにアップ!
インテリアの高級感もさらにアップ!

●“スカイラインらしさ”は残っているのか?

 人それぞれでスカイラインらしさは変わってくるだろうが、歴代モデルのなかにQ50を並べると、デカくてやたらに凝ったデザインで欧州プレミアム風だということには、ちょっとした違和感があるのは事実。

 だが、スカイラインはもともと大人4人がきちんと快適に乗れて、スポーツドライビングも楽しめる高級パーソナルカーというのが原点だ。そのために今やメジャーな自動車メーカーでは片手で数えられるぐらいしか作っていないFRの駆動方式を貫き通している。

 FRの持つドライビングプレジャーに価値を感じるユーザーは少数派だが舌が肥えている。そこを踏まえてFRを存続させていくためには、プレミアム化は避けて通れないだろう。そう考えればQ50の姿にも納得がいく。時代がこの変貌を求めていたのだ。

●3.5Lハイブリッドの走りはフーガと同じなんじゃないの? そこも気になるゾ!

3.5L+モーターのハイブリッドはフーガなどに搭載されているシステムを採用したもので、日産独自の1モーター2クラッチ式。北米仕様の最高出力はエンジンが302hp、モーターが67hp、システム出力は360hpとなり、世界的にも日産の主力パワートレーンになりそう
3.5L+モーターのハイブリッドはフーガなどに搭載されているシステムを採用したもので、日産独自の1モーター2クラッチ式。北米仕様の最高出力はエンジンが302hp、モーターが67hp、システム出力は360hpとなり、世界的にも日産の主力パワートレーンになりそう

 フーガと基本的に同様のシステムはファン・トゥ・ドライブと低燃費を両立させるスポーティカー向きの資質を持っている。

 ただし、クラッチの制御があいかわらず大変そうだなと感じてしまった。ハードコーナリング中に制御の谷間みたいなところへ入り込んでしまうと、アクセルを踏んでもしばらく無反応で、その後唐突に駆動力が立ち上がって簡単にテールスライドを誘発してしまうなんてことも体験。スカイラインを名乗るならあと一歩の熟成を期待したいところだ。

●3.7L、V6の走りは楽しいのか?

 既存の3.7Lエンジン+7ATなので驚きや新たな発見はないが、逆にみれば熟成されているよさがあるともいえる。

 最近は欧州プレミアムセダンでダウンサイジングターボに慣れてしまっているから極低回転域のトルク感は、あまり厚くは感じないが、NA大排気量ならではの素直でリニアな回転上昇感、素直なレスポンスなどは美点だろう。欲をいえば、高圧縮化やリーンバーン化など、効率アップの技術を盛り込んでドイツ勢に対抗してもらいたい。

●「ちょっと大きくなりすぎた」との声があるけど……?

V36型スカイライン
V36型スカイライン

 日本の都市部の事情を考えれば全幅が一気に54mmも広がって1824mmとなったことに、ブーイングも出てくるだろう。だが、レクサスISも1810mmになったことだし、ライバル達の動向を見れば致し方ないところか?

 今どきはこれくらいの全幅がないと、プレミアムカーでは必須のワイド&ローな雰囲気やサイドの凝った面構成を実行することが難しいからだ。

 このクラスで唯一コンパクトさを保っているメルセデスベンツCクラス(全幅1770mm)は小回りが利くので、東京・世田谷あたりではますます重宝しそう。ただこちらも近く登場する次期型は大型化しそうなので買うなら今のうちだ!

●ステアバイワイヤステアシステムの完成度は?

ハンドルの動きを電気信号に置き換えて、タイヤを操舵する新ステアリング技術を採用
ハンドルの動きを電気信号に置き換えて、タイヤを操舵する新ステアリング技術を採用

 ステアバイワイヤは、想像していたとおりフィードバックが少ない。極上のドライビングプレジャーを求めてわざわざFRを選択するとしたら、ちょっと物足りなく思うかもしれない。

 ただ、何度も乗っているうちに「フィードバックが少なくても、意外と運転できるもんなんだね」と意識が変わっていったのが自分でも不思議だった。グランツーリスモなどのゲームでも、やり込むうちにまるでGを体感してるかのような錯覚に陥って一体感が出てくるのと近い。

 完成度はまだ高いとはいえないが、とんでもなく可能性を秘めているのは確か。チャレンジする姿勢にはスカイライン魂を感じるので、応援したい。

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