メイン写真にご注目!! 右手のトラクタには運転手がいない。そう、これは“自動運転トラクタ”なのだ。こちらのトラクタを開発したのは業界大手のヤンマー。
正式名称は「ロボットトラクタ」といい、先月(2016年10月)にロボット大賞の農林水産大臣賞も受賞した話題のトラクタでもある。
この「ロボットトラクタ」、いったいどういったしくみで動き、何ができるのか? さっそくヤンマー広報部に直撃してみた!!
ベストカー2016年12月10日号
「アポなし日本全国電話調査」
ロボットトラクタを使えば作業者1人で倍幅の作業も可能に
編集部 ロボット大賞(農林水産大臣賞)の受賞、おめでとうございます。
ヤンマー広報部(以下、ヤンマー) ありがとうございます。農業の労働力不足と省人化などへの対応が評価されての受賞だと聞いています。
編集部 メイン写真、前を進む車両には人が乗っていないんですけど、このロボットトラクタの機能はどういったものなのか教えてください。
ヤンマー まず、前を進む無人のトラクタは2014年に発売された「YTトラクタ」のなかで最も大きい5シリーズがベースです(最高出力=113ps)。これがロボットトラクタですね。
その後ろで並走する車両は古いタイプでもよくて、それを運転する人がタブレットを見ながら前を進むロボットトラクタを操作する、というしくみです。
ちなみにメイン写真は「耕うんダブル幅」を行っている様子で(※イラストのケース1参照)、作業者ひとりが2台のトラクタを使い、2倍の幅を耕うんできるメリットがあります。
編集部 運転する人はタブレットを使って、どのようにロボットトラクタを操作するんですか?
ヤンマー あらかじめそのロボットトラクタには畑の形状や作業工程、細かい制御などがプログラミングされ、後ろで並走する人間は発進や停止などの基本動作をタブレットを通して伝えるだけです。
編集部 「細かい制御」とは、モグラが出てきたらそれをサッと自動で回避することも可能?
ヤンマー そ、そこまでは(汗)。例えば往復して耕す時、畑の形状を覚えているので自動でUターンして、Uターンする際は耕す歯が上にあがります。そういう部分がすべて自動ですね。
また、イラストのケース2のように先頭のロボットが耕し、後ろの有人トラクタが肥料を蒔くなど別の作業をすることも可能です。
編集部 すばらしい。人手不足解消に役立ちそうですね。同時に違うことをするなんて二刀流の大谷選手のように偉いです。で、「連続運用時間」などはあるのですか?
ヤンマー 大規模農場を想定しているので、ずっと動き続けます。“ガス欠”するまで。
編集部 凄いなぁ。要はほかのトラクタに乗りながらの遠隔操作のようですけど、ラジコンのように畑の端に人が立って遠隔操作する、ということもできるようになりますか?
ヤンマー それは“完全自動化”ということですけど、技術的には可能です。でも、このロボットトラクタは2018年度の実用化を目指しているので、完全自動化はそこから数年後先としか今は言えないです。
安全面が重要なので、万が一誤作動でロボットトラクタが意図しないほうへ動き出したら怖いですから。
このロボットトラクタの実験は、北海道をはじめ全国各地の農地で行っているとのことで、全国に数台のロボットトラクタが存在するそう。
近年、農業において高齢化やそれに伴う人手不足の解消は喫緊のテーマ。「ロボットトラクタ」はその打開策として大きな可能性を秘めている。今後の動向に注目だ!!
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