ドナルド・トランプ大統領の就任式が2025年1月20日(日本時間の21日未明)、首都ワシントンの連邦議会議事堂で行われた。就任演説を終えたトランプ氏はホワイトハウスに入り、重要施策を迅速に実行できる100本にもおよぶ「大統領令」に署名した。気になるのは日本の自動車メーカーは今後どうなるのか?
文:国沢光宏/写真:Adobe Stock(トビラ写真:Adobe Stock@ZHIJIAN)
戦々恐々のEVはさらに減速???
トランプさんが2回目の大統領に就任してから2日が経った。すぐ様々な動きをするのではないかと言われていた通り、就任した日に100近い大統領令に署名している。
新型コロナ対応を「失敗!」と決めつけWHOから脱退したり(その通りかと)、地球気候変動についてのパリ協定から抜けたりと、大統領の権限で自由に決められることが驚くほど多い。日本じゃとうてい考えられない。
そんなことから日本の自動車産業に対する大きな動きも出ると予測されていた。例えばメキシコやカナダからの関税を決めたり等々。
けれど関税についての動きはなさそうだということに。メキシコからの輸入多いマツダにとって大朗報で、株価は5%もハネ上がった。しかし「やっぱり締め付けありそう」となり、1月21日の取引開始でイキナリ10%下落! トランプさんの気持ちの動きで株価乱高下!
マツダのほか、メキシコ工場製の販売比率が大きい日産も大きな影響を受けること間違いなし。ただメキシコ工場でクルマを作ってるのは、マツダや日産など日系メ-カーに限らない。
GMやフォードも相当な台数をメキシコ工場で生産している。ディールを好むトランプさんのことだから、脅しを掛けておき、そこから個別交渉に入ると考えていい。もちろんタダで終わらない。
ホンダとスバルもアメリカ市場頼みの一本足打法。ただホンダの場合、日本からに輸出はほぼなし。不安体要素といえばカナダ工場になる。
トランプさんはカナダからの輸入にも関税をかけると言っており、ホンダにとって影響大。日本からの輸出多いスバルは関税アップを想定し、アメリカで販売するスバル車の生産拠点をアメリカに持っていくべく動き出した。
入念に準備していると思われるのがトヨタ。早くもトランプ政権に対し寄付を申し出ており、恭順の意思を見せている。こうなるとトランプ陣営は「ディ-ルできる」と見なす。
アメリカへの投資を増やすようなリクエストなど受けるだろうけれど、こらもう人の国でビジネスを続ける以上、ある程度の条件はのまなくちゃならない。アメリカに限った話ではないです。
今度どうなるか? 残念ながらサッパリ読めない。複数の自動車メーカーのアメリカ通に聞いたけれど、みなさんも困っている。
ひとつ言えるのは保護主義になるだろうということ。「アメリカで販売するクルマはアメリカで作りなさい」です。1980年代から言われ続けてきたことだからして、仕方ないという受け止め方だ。だからこそ日本の自動車メーカーはアメリカに工場を作った。
トバッチリを受けるのはどこのメーカー?
気になるのは電気自動車の行方。パリ協定から抜け、石油やシェールガスの採掘にドライブをかけると言ってるため、電気自動車は氷河期となりそう。
もちろん補助金なんかなくなるに違いない。こう書くと「イーロンマスクのテスラはどうなる?」と思うだろうが、おそらくトランプさんとイーロンマスクは何か握っているに違いない。補助金に変わる優遇策、どんなモノになるか興味深い。
トバッチリを受けるのは日本の自動車メーカーだ。一番「う~ん」になりそうなホンダを見ると、トランプさんの就任が決まってすぐ方向変換。
ハイブリッドとPHEVへの注力を打ち出した。トヨタはすでにこうなることを予測しており、電気自動車の普及を伸ばす「プランB」に切り替え済み。マツダは出遅れていたため、ちょうどよかった。あたふたしてるの、変化に弱い日産かもしれない。
いずれにしろ「適応できるものが生き残れる」というダーウィンの進化の通りになりそう。今後トランプさんがどんな方針を打ち出してくるか読みにくいけれど、機敏に対応出来ないメーカーは厳しいと思う。
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コメント
コメントの使い方トランプ氏は就任直後の世界的シカト状態を救ってくれた安倍氏をむしろ利用し非常にうまくコネクトさせた、狡猾さの天才
発言や公約と実際の政策・行動に矛盾が多い人なのですが、一部に好感度高い言動もあり、実際の結果をしっかり精査せず発言だけで全肯定する人がいます
他なら兎も角今後の6年に就任されるには最悪の相手で、被る損益の大きさは日本国民に必ず影響します。それを思考放棄して日本のせいにするのだけは止めて
この記事には一言も名前が出てこないが、北米市場に依拠していないスズキは高みの見物。