バカ売れトヨタ RAV4が首位浮上!! 元祖SUV販売No.1車、日産 エクストレイルは復活なるか。
2019年の日本カー・オブ・ザ・イヤーがトヨタ RAV4に決定した。ここ数年の爆発的なSUV人気は、世界的にも国内的にも未だ衰えておらず、国産車メーカーもSUVの新型車を、続々と市場投入している。
そのなかで、息の長い販売が続いているのが、2013年に登場した現行型のエクストレイルだ。2018年は国産4WD SUV登録車販売台数で1位を獲得したものの、2019年は勢いを落としている。
現行のエクストレイルは、この12月で7年目突入となり、いよいよモデルチェンジのサイクルが近づいている。
2021年にも登場するといわれている新型で、エクストレイルは再び、SUVの首位を奪還できるのだろうか。そして、そのためには何が必要なのだろうか。
日産で新型車の車両開発エンジニアをしていた筆者が考察する。
文:吉川賢一
写真:編集部、NISSAN
【画像ギャラリー】歴代エクストレイルと人気SUVの販売動向をチェック!
エクストレイルと人気SUVの売れ行きは?
国産のSUVで、ここ数年売れているのがホンダ ヴェゼルとトヨタ C-HRだ。
ヴェゼルは、2015年は7万1021台、2016年は7万3889台を販売、このジャンルでは一人勝ち状態であったが、2016年12月に登場したC-HRが、2017年には11万7299台、翌年の2018年も7万6756台を販売するなど、2年連続で国産SUV登録車販売台数1位となっている。
なお、2019年1~11月までの集計だと、C-HRは、同メーカーであるRAV4販売開始の影響を受けたためか、販売台数が減少し、ヴェゼルが若干優勢となっている。
2018年は「国産SUV大豊作の年」と言われており、新型CR-Vや新型フォレスターといった優秀なSUVが次々とデビューしたが、激戦区であるSUVジャンルにおいて4WD車だけを見たとき、エクストレイルは販売台数で同年のNo.1(自販連区分ではオフロード4WD国産車)となっている。
日産の登録車のなかでは、ノート、セレナに次ぐ「売れ筋」モデルだ。
2019年になっても、エクストレイルの勢いは止まらず、3月は単月で6225台も売り上げたエクストレイルだったが、4月以降、急激に低迷を始める。その理由は明らかで、2019年4月にデビューした「RAV4」の存在だ。
2018年は月平均4192台売り上げていたエクストレイルの販売台数が、月平均2455台(2019年4-11月)と前年の6割ほどに減少。
一方のRAV4は、エクストレイルの2倍以上となる、月平均6026台を売り上げている。エクストレイルは、フォレスター(月平均2624台)にも抜かれてしまった状況だ。
ちなみに、RAV4は5月:6817台、6月:7822台、7月:8646台と、爆発的に売れている。
エクストレイルは「適度なサイズと安さ」も売り
日産によると、エクストレイルの売りは、「インテリジェント4×4が実現する圧倒的な走破性」、「プロパイロットをはじめとする未体験の先進技術」、「先進のシャシー制御が実現する、意のままの走り」だそうだ。
たしかに、そうした性能は素晴らしいものではあるのだが、これらの技術は今やSUVとしての当たり前性能であり、昨今発売される車には、同カテゴリであれば、似たような技術が織り込まれている。
したがって、これだけでエクストレイルが選ばれているとは言い切れない。筆者が考える「エクストレイルの強さ」は下記の2つだ。
【1】長くて、幅が狭くて、全高が高く、そして安い
RAV4やフォレスター、CR-Vなどと比較して、エクストレイルは比較的車幅が狭いのに、全長全高が高い。つまり、運転しやすいサイズなのに、SUVとしては大事な性能である「積載性能」に優れている。
しかも、この3台の比較では比較的安い。SUVとして大切な積載性を、リーズナブルに提供しているのが、エクストレイルなのだ。
【2】クセの少ないボディスタイル
「C-HR」、「CR-V」のような格好良いSUV、「フォレスター」や「RAV4」のような無骨なSUV、こうした特徴がなかったことが、逆にエクストレイルの「特徴」となっていて、クセが少なく「普通のボディスタイル」をしていたことも、よい影響を及ぼしているのではないだろうか。
好き嫌いを生じにくい「ユニバーサルデザイン」なところが、「無難」を心地よく感じる日本人には刺さっていたのでは、と筆者は分析している。
コメント
コメントの使い方