運転席はまさかの無人! ハンドルが勝手に回る日産セレナって無事横浜市街を走れるのか?

運転席はまさかの無人! ハンドルが勝手に回る日産セレナって無事横浜市街を走れるのか?

 こ、こりゃすごい! 日産が横浜市内で運転席が無人のセレナを走らせた。自動運転の実証実験は全国で行われてきたが、交通量の多い市街地で一般車両と混走させる試みは日本初。その車両に同乗してみたのでレポートをお伝えしよう!

文:ベストカーWeb編集部/写真:日産自動車、ベストカーWeb編集部

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日産本社の中に「第2の運転室」!!

無人走行を行うセレナ。センサー類は公道での安全性を考えてLiDAR6台、レーダー9台、カメラ14台という重装備
無人走行を行うセレナ。センサー類は公道での安全性を考えてLiDAR6台、レーダー9台、カメラ14台という重装備

 アメリカではテスラがロボタクシービジネスに参入し、中国ではNOA(ナビゲーション・オン・オートパイロット=カーナビとリンクした自動運転)という半自動運転が急速に普及するなど、2025年は自動運転界隈が盛り上がっている。

 日本だって例外じゃない。今年は巨人ウェイモ(グーグルの自動運転部門)がタクシー会社などと組んで、いよいよ東京で自動運転の実証実験を開始するからだ。

 そのウェイモに先んじる形で、日産がやってくれた。お膝元の横浜で、運転席に人が座らない自動運転車両を走らせたのだ。交通量の多い市街地で同種の走行を成功させたのは日本初の快挙だという。

 2月下旬、その実証実験車両に試乗させてもらった。セレナをベースにさまざまな機器を搭載した車両で、センサー類だけでもLiDAR6台、レーダー9台、カメラ14台という陣容。これはややオーバースペックともいえる装備だが、安全性や冗長性などを考慮して意図的に過剰なシステムとしてあるそうだ。

遠隔監視室。車両センサーが得る情報をリアルタイムで確認できるほか、車両AIの「あわてぶり」もモニターしてサジェストできる
遠隔監視室。車両センサーが得る情報をリアルタイムで確認できるほか、車両AIの「あわてぶり」もモニターしてサジェストできる

 とはいえ注目してほしいのは車両だけじゃない。このクルマは運転席無人で公道を走るため、万一のときに車両を操作・停止できる仕組みを求められる。そのため日産グローバル本社の一室に、車両を監視し、いざという時には遠隔操作もできる、いわば第2の運転席があるのだ。

 実際には遠隔監視と遠隔操作は別々の部屋で行われていた。そのいっぽうの遠隔監視ルームをのぞかせてもらったのだが、個々の車両監視と並んで、将来の複数台運用をさばく仕組みも用意されていた。

 監視ルームで面白かったのが、各車両の運転を担うAIの「あわてぶり」が横棒で表示されているところ。通常は0%なのだが、ごくまれに予期せぬ事態に出くわすと処理に迷って100%になるのだそうだ。そんなときは監視室から「左から迂回しては?」といったサジェスチョンを行い、AIに学習させるのだという。幸か不幸かその場面にはでくわさなかった。

 いっぽう遠隔操作ルームの見学はできなかったが、大型ディスプレイとステアリングコントローラーに囲まれたヘビーゲーマーの部屋のようだらしい。ここに座るドライバーは現実にハンドルを握るリアルドライバーと同じ責任を持つ。違反をすれば免許の点数にも関わるそうだ!

 実際の運用ではさらにもう一人、セレナの助手席に保安要員が座った。クルマが危険な状況に陥ったとき、すみやかに非常停止ボタンを押すためだ。

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ああ人間の運転に似てる!

ハンドルだけが勝手にクルクルする様はやっぱりすごい!
ハンドルだけが勝手にクルクルする様はやっぱりすごい!

 いよいよ試乗だが、スマホアプリを使って呼び出すと、無人のセレナがそろそろとやってきた。無人のクルマが走ってくると、それだけでびっくりする。

 走行ルートは日産グローバル本社からとちのき通りを東へ向かい、臨港パーク入口交差点を右折して国際大通りへ。カップヌードルパーク入口を右折してワールドポーターズを1周してUターンし、同じルートを戻ってくるおよそ4kmのコースだ。

 到着したセレナの後席ドアのセンサーにスマホを当てるとスライドドアが開いた。目の前にあるタッチディスプレイのGOボタンを長押しすれば、いざスタートだ。誰もいない運転席でハンドルだけが勝手にくるくると回る様はやっぱりインパクトがある。

 クルマ寄せから車道に出る際に歩道をまたぐ。歩道の手前で一時停止し、歩行者が通り過ぎてから発進するわけだが、そろそろとにじり出るように前進する様は、人間の運転に似ている。これは他の場面でも感じたのだが、人間に「ああ自分の運転と同じだ」と感じさせることは、安心感を左右する大事な要素だと思った。

 乗車中はリアシート前の大型ディスプレイに目的地までのルートと、車両周囲の状況が映し出される。周囲の状況は地図データにセンサー類の情報を重ね合わせて表示するのだが、並走車や対向車の形状まで分かるほど解像度が高い。信号待ちのときは信号の色も表示する。

 こうしたセンサーの情報をもとに、クルマに搭載されたAIがさまざまな判断をするわけだが、そのAIの外部とのやりとりには4G LTE無線網が使われる。なんとdocomo、au、ソフトバンクという3メガキャリアをすべて使用しているそうで、刻々と変わる受信状況に応じて使い分けるという贅沢仕様だった。

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