2024年秋にインドから上陸したスズキ フロンクス。スズキの世界戦略車という位置付けのフロンクスに試乗し、テリーさんは言った。「これは行列のできるランチ店だね!」。フロンクスがテリーさんの心の琴線に触れたようです。
※本稿は2025年1月のものです
文:テリー伊藤/写真:茂呂幸正、スズキ
初出:『ベストカー』2025年2月26日号
フロンクスは「行列のできる人気ランチ店」!?
話題の新車、スズキ フロンクスと半日付き合って、売れている理由がよくわかった。
装備が圧倒的に充実しており、オプション装備は特別カラーと2トーンカラーだけ。それで価格はFFが254万1000円、4WDが273万9000円と、同等装備の軽自動車に20万〜30万円足せば手が届くレベル。コストパフォーマンスは最高である。
特に、最近は新車価格の高さに辟易しているだけに、この価格設定は一服の清涼剤のようにも感じられる。「さすがスズキ!」と感謝したくなる。
安さは正義で、ちょっとした不満があったとしても「安いのだからしょうがない」と思えるのもいい。つまり、余計なストレスを感じなくてすむということ。人は、安さの前にはひれ伏すものなのだ。
クルマにこだわりの強い人にとってどうかといえばそれは別の話で、フロンクスはそういうユーザーを最初から対象にしていない。自分の生きる道をよく知っているのだ。
誤解を恐れずに言えば、フロンクスはオフィス街の大衆レストランのようなものだ。ランチは美味しくてボリュームたっぷり。名物の穴子丼は穴子の天ぷらが立つくらいの太さで、それでいて安いからサラリーマンに大人気。お昼時はいつも行列ができている。
安くて美味しい料理を作るのは大変なことだし、近隣店との競争も激しい。すべては店主の努力の賜物というわけだが、それはフロンクスも同じことだ。よくぞこの価格でこれほどのクルマを作ってくれたと、またまたスズキに感謝したくなる。
エンジンは4気筒1.5Lガソリンのマイルドハイブリッドで、特に上質というわけでもないが必要十分な実力を発揮する。乗り心地はやや硬めに感じたが、許容範囲だ。
先にも言ったが安さは正義で、「これで充分ではないか」という気持ちになれるのがいい。また、小さなボディやわかりやすいスイッチ類など「扱いやすい」という特長もあって、まったく不満を感じない。
こういうカジュアルなクルマは、若い人たちがたくさん乗って、ワイワイとドライブに行くシーンが似合う。つまり、フロンクスは安いだけでなく、とても爽やかなクルマでもある。
1万円コーデでもっと楽しめる
誉めすぎだろうか。しかし、デザイン、走り、使い勝手などすべてが合格点に達していて、そのうえで安いのだから文句のつけようがない。一方でフロンクスのライバル車も実力車揃いで、ヤリスクロス、WR-V、ライズ/ロッキーなどが控えている。
フロンクスのコスパの高さや魅力は認めつつも、ではライバルに圧勝しているかといえばそこまでではないのも事実。燃費ではヤリスクロスの圧勝だし、WR-Vのボクシーなデザインが好きな人も多いだろうし、ライズ/ロッキーには価格100万円台のグレードもある。
それぞれに特長と魅力があるということだが、フロンクスがその強力なライバルたちと互角に戦えるクルマなのは確かなのだ。
フロンクスはクルマにこだわりのある層は対象にしていないと先に述べたが、フロンクスを題材に、安くドレスアップを楽しむのは大いにアリだ。例えば明るいチェック柄のシートカバーを付けるだけでも雰囲気は変わる。
ファッションの「1万円コーデ」をフロンクスでやるイメージ。ちょっとしたセンスと小物があれば、1万円と言わず、数千円で個性的なクルマにすることができるだろう。
カジュアルな雰囲気のあるフロンクスならではの楽しみ方かもしれない。冷凍食品やインスタント食品にひと手間加えてさらに美味しくするのにも似ている。どうするかを考えるのも楽しいし、元がいいからできるアレンジとも言える。
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