ワゴンでもセダンでも爽快感抜群! ズンズン走る子だった初代マツダ アテンザが懐かしい……

ワゴンでもセダンでも爽快感抜群! ズンズン走る子だった初代マツダ アテンザが懐かしい……

 2024年9月にマツダのラインナップから姿を消したマツダ6。日本では2002年からアテンザとして販売されてきたクルマだ。カペラの実質的な後継車種として、マツダのミドルサイズモデルを守り続けたアテンザ。新生マツダを象徴する走りのセダンは、どのようなクルマだったのか、振り返っていこう。

文:佐々木 亘/画像:マツダ

初代アテンザ SPORT 23S
【画像ギャラリー】ZOOM ZOOMのCMもちょっと懐かしい? マツダのスポーツを担ったアテンザはドライバーを笑顔にさせる走り!(20枚)画像ギャラリー

ZOOM ZOOMを引っ張る存在

初代アテンザ SPORT 23S
初代アテンザ SPORT 23S

 1990年代以降の低迷から脱出すべく、経営改革を続けていたマツダは、2002年4月に新ブランドメッセージの「ZOOM ZOOM(ズーム・ズーム)を展開した。これは、動くことへの感動の表現であり、新世代マツダは運動性能やデザインで勝負するということが、高らかに宣言されたのだ。

 このメッセージを象徴する存在が、初代アテンザだった。プラットフォームやパワーユニットは新開発で、オールアルミ製の軽量な「MZRエンジン」と新設計サスペンションが、マツダらしい走りの楽しさを具現化している。

 ボディ形状は4ドアセダンと5ドアステーションワゴンを用意。躍動感あふれるエクステリアと人間工学を駆使したインテリアは好評で、初代モデルは10万台以上を生産するヒット作となった。

 剛性感のあるステアフィールは、当時のミドルサイズセダンやワゴンのなかでは群を抜いていて、スポーツ23Sとスポーツワゴン23Sに用意されたショートストロークの5MTと絶妙にマッチ。ハイパフォーマンスモデルのマツダスピードアテンザもいいのだが、スポーツ23Sのバランスのいい乗り味が、手足のように動かせるクルマに仕上がっていて、非常に良かった。

 これが車両本体価格220万円で販売されていたのだから、値段以上の価値が十分あったというものだ。

世界のマツダへ押し上げた2代目モデル

2代目アテンザ
2代目アテンザ

 2008年には1度目のフルモデルチェンジ。2代目となったアテンザは、よりスポーツ志向が強くなった。ボディ剛性を高め、サスペンション設定を見直すことで、先代の弱点だった危険回避時の後輪の接地性の低下を大きく解消する。

 またミリ波レーダーを使った安全装備の充実も2代目のウリだ。国内初のリアビークルもモニタリングシステムは、車線変更時に後方から並走車が来ると、フロントピーラー内側のLEDが点灯して教えてくれる仕組み。現在のブラインド・スポット・モニタリングの原型である。

 さらにミリ波レーダーを使った衝突回避の支援機能があり、車間距離制御機能付きのクルーズコントロールも搭載した。

 海外での評価が高かったアテンザ(海外名マツダ6)は、2010年に世界累計生産台数が200万台を突破し、マツダを世界へ羽ばたかせる、大きな原動力となっている。

世界を見据えたフラッグシップモデルへ

3代目アテンザ
3代目アテンザ

 2012年に2度目のフルモデルチェンジを果たしたアテンザは、好調だった北米や中国市場を考慮して、ボディを大幅に拡大。ワゴンよりもセダンの方が全長やホイールベースが長いという、特徴的なパッケージングを採用している。

 エクステリアには魂動(こどう)デザインを取り入れ、大柄なボディサイズを生かした抑揚と躍動感のあるデザインに仕上げた。メカニズム面では、各所にSKYACTIV技術を盛り込み、人とクルマが一体になるリニアな走りを実現している。

 フラッグシップモデルになったことで、車両本体価格も初代に比べて大幅アップ。メイングレードは300万円台になり、上位グレードでは350万円を超えるものも。それだけマツダが本気になり、アテンザというクルマのレベルを上げていった結果だと思う。

 セダン・ワゴンの不人気もあり、国内市場から姿を消してしまったアテンザ(マツダ6)。マツダラインナップはほとんどがSUVになり、他メーカーとの違いが分かりにくくなっている。マツダがマツダらしくいるために、今こそフラッグシップセダンや大型ステーションワゴンをラインナップすべきだと思う。

 販売の中心では無いが、活躍できる控え選手がマツダには必要だ。マツダ6という車名の通り、アテンザが復活すれば、優秀なシックスマンとして機能するだろう。マツダのフラッグシップセダンに、また乗ってみたい。

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