その昔、クルマのボディカラーはソリッド塗装(塗料だけの基本色)が主流で、そこにシルバーが加わる程度でした。そこから塗料の技術開発が進み、いろんな調合のメタリックカラーが生まれ、次いでパール系、飴のような深く透明感のあるキャンディカラーなど、続々とその種類を増やしてきました。昨今ではツヤ消しor半ツヤのマット系カラーが市販車に導入されるようになっています。それらのカラーリングがほどこされたクルマをキレイに保とうとすると洗車の作業は欠かせません。そこで気になるのが、「どんな色のクルマでも同じお手入れ方法でいいのか?」という点です。特にマット系カラーは気を使うという話もそれとなく聞こえてきます。ここではボディカラーによって洗車の方法を変えたほうがいいのかという点を少し掘り下げてみたいと思います。
文:往機人/写真:Adobe Stock(トビラ写真=suvita)、ホンダ
【画像ギャラリー】その洗い方がむしろ逆効果に!? マット系カラーはゴシゴシNG? (3枚)画像ギャラリーボディのカラーで洗い方は異なるのか?
洗車をしようとその用品を揃えにカー用品店に行くと、カーシャンプーの棚に「ホワイト系」や「メタリック系」、「暗色&ブラック系」など、色味によって種類が分かれている商品を目にします。
わざわざ別のものとして分けているからにはその成分に違いがあるはずです。いったい何が違うのでしょうか?
その違いの主な部分は「コンパウンド」にあるようです。コンパウンドというのはカンタンに言うと研磨剤です。傷の補修や塗装の最終ツヤ出しが主な用途です。
一部のカーシャンプーには、基本成分である汚れを落とす洗剤成分の他に、微細な傷を消したり、こびりついた汚れを落とす効果を狙って微量のコンパウンドを配合しているものがあります。
違いについてですが、そのコンパウンドの分量が、ボディカラーによって変えられているとのこと。
ホワイト系などの明るいボディ色の場合、雨などによる水垢が目立つ傾向があります。それを落とす効果を高めるため、多めにコンパウンドが配合されているようです。
コンパウンドが多いと、研磨によるごく微細な擦り跡が残る場合がありますが、色調が明るいため目立ちません。
一方で、暗色&ブラック系、そして真っ赤や紺色などの濃い単色の場合、所有したことがある人は実感していると思いますが、洗車やワックス塗りでの擦った跡が目立つようになる傾向があります。
これを最小限に抑えるために、専用のシャンプーではコンパウンドの配合を少なく設定しているとのこと。
メタリック用はその中間の配合となるようです。
マット系カラーは予備知識無しで洗車や汚れ落としをするとダメージが残りかねない
ツヤがある一般的な塗装の場合は、上記のように多少の色味の違いで扱いが少し異なるものの、最終的にはきちんと磨いてやれば塗装面のツヤは復活させられます。
しかしマット系カラーはそうはいきません。磨くとせっかくのツヤ消しがキャンセルされてツヤ有りになってしまいます。そうなってしまったら塗り直さないかぎり元の状態には戻せません。
塗装面のツヤが消える仕組みは最表面の状態にあります。塗装面を顕微鏡レベルで見た場合、面に凸凹が少ないほどツヤが強くなり、梨地のような細かい凸凹で埋められるとツヤが消えます。
ツヤ消し仕上げは、硬化すると表面に微細な凸凹が生じる特殊な塗料を塗布することでできあがります。
市販車のツヤ消し塗装は日常使いで神経質にならなくていいように、多少擦れたぐらいではダメージを受けないようにしっかりと硬度が高められた仕上げになっています。





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