奇跡の名エンジン4選!! 走りのプロも心底惚れた!!試乗人生で忘れられない感動

奇跡の名エンジン4選!! 走りのプロも心底惚れた!!試乗人生で忘れられない感動

 1年間に多くのクルマに試乗し、評価を行うモータージャーナリスト。その仕事を約40年間続けているベテランがこれまで味わったなかでも、特筆すべき名エンジンを4基取り上げてもらった

文:中谷明彦/写真:ベストカーWeb編集部

【画像ギャラリー】V6からV10まで!! ヤミツキエンジンフィールが味わえるクルマを見て!!(12枚)画像ギャラリー

トヨタが手がけた3.5L V6の名機

レクサスISやGS、マークXなど幅広い車種に搭載された

 今回は、僕が過去40年以上にわたりレーシングドライバー&自動車評論家として試乗・分析・評価を重ねてきたなかで、特筆すべき完成度を有し、「記憶に残る」と断言できる内燃機関エンジンをら4基選出したのでご紹介しよう。

 2GR-FSE型は、世界初のポート噴射と筒内噴射(直噴)を併用するD-4Sシステムを採用し、高い動力性能と優れた環境性能を両立されたエンジンである。レクサスGSやIS、クラウンアスリート、マークXなどに搭載された。

 FR車専用エンジンとして2006年に登場して以来、長期にわたり使用されている。最大出力318PS/6400rpm、最大トルク380Nm/4800rpmを発生し、実用域と高性能を高い次元で両立した量産エンジンとしての完成度が極めて高い。

 最大の特徴は、トヨタ独自のD-4S燃料噴射システムを採用している点である。これは、ひとつの燃焼室に対して直噴とポート噴射を併用し、吸気条件や負荷に応じて最適な噴射方式を電子制御で切り替える構造となっている。

 このシステムの効果により、冷間時にポート噴射を優先して吸気バルブ周辺の洗浄効果を確保しつつ、高負荷時には直噴による冷却効果とノック抑制を実現しており、低燃費、高出力、耐久性とバランスの高い水準で成り立っている。

レクサスISやGS、マークXなど幅広い車種に搭載された
レクサスISやGS、マークXなど幅広い車種に搭載された

 V6レイアウトはバンク角60度、吸排気はデュアルVVT-i制御、アルミ合金製の軽量ブロック構造など優れた選択がなされている。

 このパワーユニットを初めて体感したのはレクサスIS350が登場したときで、試乗会では6速マニュアルトランスミッション搭載モデルを走らせた。世の中、環境性能優先が謳われ直噴エンジンが広く採用される中で、走りやドライブフィールを求める事は悪であるかのように囁かれ始めた時代だった。

 そんな状況下で、D-4Sは全域でトルクの谷が少なく、アクセル開度に対してリニアに応答する。街乗りから高速道路巡航、追い越し加速まで一貫したトルク感が得られ、ドライバビリティが非常に良好だった。

 特に高回転域でのパンチが効いた回転特性は力強く、スポーツエンジンが復活したかのような感動を覚えたものだ。

 以来、トヨタのD-4Sは僕の中で優れたシステムとして確立されているのだ。

F1で培った技術をフィードバックしたV10

M5ワゴンにも搭載されており、これは量産ワゴン初のV10エンジン搭載車
M5ワゴンにも搭載されており、これは量産ワゴン初のV10エンジン搭載車

 S85B50型は、BMWがE60型M5/E63型M6向けに開発した5L V型10気筒自然吸気エンジンである。最大出力は507PS/7750rpm、最大トルク520Nm/6100rpmを発生し、当時の自然吸気エンジンとしては世界有数の出力スペックを誇った。

 構成はバンク角90度のV10レイアウト、ボア92mm×ストローク72.2mmでオーバースクエア設計。圧縮比は12、可変バルブタイミング(VANOS)およびドライブ・バイ・ワイヤ(DBW)を備える。個別10連スロットルボディを備えることにより、アクセル操作に対する吸気応答性が非常に高く、スロットルディレイが最小限に抑えられている。

F1に参戦していたBMW。現場いで培った技術を市販化に反映するとは、まさに走る実験室のお手本だ
F1に参戦していたBMW。現場いで培った技術を市販化に反映するとは、まさに走る実験室のお手本だ

 このエンジンの最大の特徴は、F1エンジンの技術的フィードバックを受けた設計であること。BMWは当時F1においてV10VAエンジンを開発・供給しており、その知見をS85に転用。高剛性軽量ブロック(アルミニウム合金製)、鍛造ピストン、ドライサンプ化に近い潤滑制御構造など、高回転持続性と応答性に特化した設計が採用された。

 回転限界は8250rpmで、一気に吹け上がるレスポンスの良さとV10独特のエンジンサウンドに痺れた。500PSという出力は、1Lあたり100ps強というリッター出力で、基本骨格的には余裕だっただろう。

 試乗時の印象としては、常用域の2000〜4000rpmでは比較的穏やかに制御されており、可変吸気機構とスロットル制御により極端なトルクの谷は感じられない。ただし、5000rpmを超えると一気に吸気音・排気音・加速度が増し、高回転側に明確なパワーバンドが形成されていた。E50 M5に搭載され、1500万円ほどの価格設定だったが、V10エンジンだけでもその価格的価値があると語っていた。

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